圧倒的な薄さ・軽さと、破格の価格設定で界隈をざわつかせた「vivo X Fold3」。
筆者も4月上旬に中国版を淘宝にて購入。送料・税込155,000円程度で入手した。
本記事では、vivo X Fold3を1ヶ月弱使った感想や、良い点・悪い点をレビューする。
vivo X Fold3のスペック
CPU(SoC) | Snapdragon 8 Gen 2 |
メモリ(RAM) | 12/16GB LPDDR5X |
ストレージ | 256/512GB/1TB UFS 4.0 |
寸法 | 折畳時:72.7×159.96×10.2mm 展開時:142.69×159.96×4.65mm |
重量 | 219g |
ディスプレイ | タイプ:AMOLED サイズ:[外:6.53インチ][内:8.03インチ] アスペクト比:[外:21.1:9][内:4:3.55] 解像度:[外:2748×1172][内:2480×2200] 画面占有率:[外:90.92%][内:91.77%] リフレッシュレート:120Hz |
カメラ | 広角+超広角+ポートレート,インカメラ |
バッテリー | 通常版:5500mAh 有線80W |
防水・防塵 | IPX4 |
初期OS | OriginOS 4 |
色 | 轻羽白/薄翼黑 |
発売日 | 2024年3月26日(中国)?[調査中] |
その他 | Wi-Fi 7,Bluetooth 5.3,NFC |
vivo X Fold3発表後、そのスペックシートを見て驚いた方も多いだろう。
なんといっても、同カテゴリーで世界最軽量となる219グラムという本体重量が最大の注目ポイントだ。展開時の厚みは最薄4.65mm、折畳時もHONOR Magic V2に次ぐ10.2mm。
バッテリーは5500mAhの大容量かつ、有線80Wの急速充電に対応。
SoCに型落ちのSnapdragon 8 Gen 2を採用しつつ、Qiワイヤレス充電に非対応など、程よくコストカットを施したモデルと言える。
最低構成(12GB+256GB)の価格は6999元(約151,000円)。25万円を超える他社製品が群雄割拠の中で、ひときわ目を引く価格設定だ。
開封 & 本体をチェック!
今回は、轻羽白と薄翼黑の2色のうち、白を選択。
付属品

パッケージには、本体とケース・80W充電器・ケーブル・SIMピン・説明書類が同梱されている。付属品に妥協がないのも嬉しいところ。
外観・デザイン

背面は、指紋が付きにくいタイプのサラサラ系素材。絶妙な摩擦があるので「滑って持ちにくい」ということはない。

大理石のような模様がうっすらと描かれてる。

右側面に指紋認証センサー兼電源ボタンと、音量調節ボタンが配置されている。vivo端末では珍しく、iPhoneのようなミュートスイッチを搭載。

動画視聴時など、開いた状態の持ちやすさはまずまず。MagSafeリング等があると良いかも。

最近では当たり前になった水滴型ヒンジにより、隙間はほぼゼロ。


上下/左右のベゼル幅が均等で美しい。ディスプレイは、外側・内側ともにパンチホール型。



簡易ケースも同梱

付属のケースは背面のみ保護する仕様。装着するとヒンジ部が指に引っ掛かるので、ホールド感が向上する。
iPhone 15 Pro Maxと比較
大きさと重量をiPhone 15 Pro Maxと比較してみる。

この時点でvivo X Fold3の驚異の薄さがお分かりいただけるだろう。USB-Cポートギリギリといった感じ。

折畳時の厚みはさすがに劣るが、狭い横幅と僅かなカーブエッジも相まって持ち心地は悪くない。

高さはほぼ同じ。

何回見ても驚きの重量(公称219グラム vs 221グラム)。これでいて、バッテリーを1,000mAh以上多く積んでいるんだから凄い…!
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充実のフォルダブル関連機能
ここからは、折りたたみスマホ特有の機能や使い勝手について、ソフト・ハードの両面からチェックする。
折り目の少なさは現状最高峰
折りたたみ式ディスプレイ搭載機の欠点として挙げられるのが「折り目問題」だ。

体感としては、“100点ではないが実用レベル”といった具合。競合製品と比較してもトップクラスの凹みの少なさだ。
折り目が皆無というわけではないが、動画視聴等で気になることは一切ない。コンテンツに集中できるフォルダブルパネルがいよいよ登場だ。
▼Google Pixel Foldと比較

昨年発売されたGoogle Pixel Foldとの違いは一目瞭然。
vivo X Fold3は環境光の反射が比較的少ないので、動画コンテンツの閲覧にも向いている。
▼HUAWEI Mate Xs 2と比較

外折りタイプの「HUAWEI Mate Xs 2」の横に並べると、まだ一歩劣る。
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半折り状態での使い勝手は?
「中途半端な角度で止める」というのも、折りたたみならではの使い方だろう。


最大角度が垂直に近く、“ちょい折りブックスタイル”は想定されていないかも。
ヒンジは固くもなく緩くもなく。軽い力で調整がしやすい。
▼フレックス モード

いわゆる「フレックス モード」により、下半分にコントロールUIを表示可能。
▼ディスプレイのスマート切り替え

「ディスプレイのスマート切り替え」では、端末をテント モードで置いた時に、カバーディスプレイへの表示に自動で切り替わる。
“折りたたみ式デバイス用”設定
その他の“折りたたみ式デバイス用”設定は、下記画像のとおり。

- アプリのマルチウィンドウ表示
- アプリの表示比率
- グローバルタスクバー
- スクリーンを折りたたむ
▼アプリのマルチウィンドウ表示

「アプリのマルチウィンドウ表示」は、例えばショッピングアプリで「左に一覧/右に商品詳細」みたいな表示方法のこと。ただし、一部の中国系アプリのみ対応。
▼アプリの表示比率

表示のアスペクト比をアプリ毎に指定可能。フルスクリーン、4.3、16:9でいずれか。比率指定は黒帯が出るだけなので、基本的にはフルスクリーン推奨。
▼グローバルタスクバー

ドック表示の切り替え。下部長押しでの呼び出しショートカットも有効/無効化できる。
▼スクリーンを折りたたむ

展開→折畳移行時に、ロックするか否か。アプリ毎の設定は不可。たしかGalaxyは細かい制御ができるのでアップデートに期待。
アプリの最適化はかなり進んでいる
UIの最適化はアプリ次第といったところだが、日本人がよく使うGoogle系等は対応が進んでいる。変に間延びして表示される等の不具合は、数年前と比べてかなり減った印象だ。

Gboardのローマ字キーボードは、きちんと分割表示される。
良い点・悪い点
vivo X Fold3を使って感じたメリット・デメリットを列挙する。
- 圧倒的な軽さ・薄さ
- しっかりと開ききるヒンジ
- 理想的な内側画面サイズ
- 丁度よい大きさ感
- マルチタスクの使い勝手は良好
- (アニメーションへのこだわり)
- Widevine L1 & アマプラ高画質OK
- 必要十分なカメラ性能
- (開閉時にフィルムの軋み音が鳴るときがある)
- (Qiワイヤレス充電非対応)
- 内側パンチホールが邪魔
かっこ()付きの項目は、入れるか迷ったやつ。
マルチタスクの使い勝手は良好
前述のドック表示を含めて、マルチタスクの使い勝手は良好だ。

サイドパネルからの画面分割呼び出しや、左下よりスワイプでのウィンドウ表示が可能。
画面を折って画面分割するギミックは独特で面白いが、手数が多いので個人的には使わないかも。
アニメーション
搭載するカスタムAndroid UI「OriginOS」の魅力のひとつにアニメーションの流暢さが挙げられる。

OriginOS 4になっても相変わらず動的効果の細かな設定ができる。
ただ、最近では中華メーカー各社も画面遷移等のアニメーションに力を入れており、一時期ほどの優位性は感じられない。
一部UIの不整合が認められるので、今後の継続的な修正と改善に期待したい。
必要十分のカメラ性能
カメラについては本記事で深く触れないが、一般的な用途には必要十分な性能だと思う。

写真はシャドーを持ち上げる傾向があり、初見の印象は良い。

ZEISSの色彩とvivoの高い画像処理能力が、ハードの貧弱さを補っている。

カメラを売りにしたフラッグシップ機に搭載されているような高倍率の望遠やテレマクロを除けば、大部分のユーザーが満足できる仕上がりと言えるだろう。
まとめ:折りたたみスマホの“スタートライン”

vivo X Fold3は、全体的に悪い点が少なく、ハード・ソフト共にクオリティの高い一台だ。
本記事中で何度も「軽さ・薄さが凄い!」と述べてきたが、個人的には“ようやくスタートラインに立てた”という印象。
価格や重さ、折り目といったデメリットがネックとなり、これまでは人に勧めにくかった折りたたみスマホ。このレベルに到達して初めて、実用的な端末になったと言える。
完全無欠のフラッグシップを求める人にとっては物足りないかもしれないが、本機の特徴に魅力を感じているのであれば、選択肢に入れて差し支えないと思う。
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