小型・軽量が特徴のスマートフォン「ASUS Zenfone 9」を入手!
- ASUS Zenfone 9
- 型番:AI2202
- Snapdragon 8+ Gen 1搭載
- 発売日:2022年11月4日
価格は最低構成(8/128GB)で99,800円~。機能の割に少し高い印象を抱くが、昨今の物価上昇等の事情を考えると妥当なライン。
いわゆる「コスパハイエンド」という位置づけで、高性能のチップを搭載しているが、随所にコストカットが見られる。
価格とコンセプトを踏まえて「Zenfone 9」を開封&実機レビューしていく。
スペック
CPU(SoC) | Snapdragon 8+ Gen 1 |
メモリ(RAM) | 8/16GB LPDDR5 |
ストレージ | 128/256GB UFS 3.1 |
寸法 | 68.1×146.5×9.1mm |
重量 | 169g |
ディスプレイ | タイプ:AMOLED サイズ:5.9inch 解像度:1080×2400 リフレッシュレート:60/90/120Hz/オート |
カメラ | 広角+超広角,インカメラ 詳細は後述 |
バッテリー | 4300mAh,有線30W |
防水・防塵 | IP68 |
FeliCa | 対応(おサイフケータイ) |
初期OS | Android 12(ZenUI) |
対応バンド | 4G TD-LTE:B34/B38/B39/B40/B41/B42 4G FDD-LTE:B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/ B12/B17/B18/B19/B20/B26/B28 5G:n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n20/n28/n38/ n77/n78 |
色 | ミッドナイトブラック,ムーンライトホワイト, サンセットレッド,スターリーブルー |
国内発売日 | 2022年11月4日 |
価格 | 8GB+128GB:99,800円 8GB+256GB:112,800円 16GB+256GB:129,800円 |
Zenfone 9は、Snapdragon 8+ Gen 1を搭載したハイエンドスマホだ。
IP68防水防塵やFeliCa(おサイフケータイ)といった、日本人に嬉しい機能に対応。
大手キャリアでの取り扱いは無く、公開市場版のみ存在する。Amazonのほか、「IIJmio」などの格安SIM(MVNO)で販売されている。
開封
本体とケース、充電器・ケーブル、SIMピン、説明書類が同梱されている。
ケースを含めて、最低限使い始められる付属品が整っているのはGood Point。
外観・デザイン
本体カラーは「スターリーブルー」をチョイス。
背面は、ザラザラとした紙のような独特な質感。
正直、触れないと分からない良さがあると思う。筆者は展示機を見て購入を決めた。
2つのカメラバンプがあり、それぞれ段差が異なる。
側面はプラスチック製。右側面に指紋認証センサー兼電源ボタン、音量ボタンを備える。
重量
重さは、実測172グラム。200グラム超が主流の最近のスマホと比べてかなり軽量な部類であり、実際に軽く感じる。
起動
OSはAndroid 12ベースのZenUIを搭載。カスタマイズは少なく、シンプルな操作感が特徴だ。
TVアニメ「ゆるキャン△」のスマホゲーム「ゆるキャン△ つなげるみんなのオールインワン!!」とのコラボ企画として、専用の壁紙がプリインストールされている。
不評なAOSPの仕様と異なり、モバイルデータとWi-Fiのトグルが分離している。
指紋・顔認証
指紋認証や顔認証の精度・速度は良好。
ただ、電源ボタン一体型指紋センサーの位置が下すぎると感じた。
カメラ
実際の作例をもとに、カメラ性能について見ていく。
背面カメラは、広角+超広角の2眼構成。
倍率 | 画角 | 35 mm換算 焦点距離 | 画素数 | CMOS センサー | センサー サイズ | F値 | OIS | その他 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
広角(標準) | 1x | ? | 23.8 mm | 50MP | IMX766 | 1/1.56″ | f/1.9 | ○ | 小型ジンバル |
超広角 | 0.6x | 113° | 14.4 mm | 12MP | IMX363 | 1/2.55″ | f/2.2 | – | マクロ |
インカメラ | – | ? | 27.5 mm | 12MP | IMX663 | 1/2.93″ | f/2.45 | – |
メインの広角カメラには、手ぶれ補正を強力に補正する6軸ジンバル機構を備える。カメラの内部が傾きに合わせて動いているのが分かる。
日中
影部に若干のノイズが見られるが、シャープネス強めで解像感が高い。
全体的に彩度は低く、”映え写真”というより”自然派”な印象。
超広角(0.6倍)のサンプル。歪みが無いダイナミックな写真が撮れる。
広角と色の差が少なく、日中であれば不満が出ないクオリティだ。
空の色が青すぎず、丁度よい味付けだと思う。
専用ズームレンズは非搭載であり、最大8倍のデジタルズームとなる。
標準カメラアプリは、画角をワンタップで切り替え可能なボタンが配置されている。
光学倍率(0.6x,1x)とデジタル倍率(2x)のボタンが分離している点が個人的に好き。
逆光
逆光環境下では、フレアが目立つ。手前の木が黒つぶれせずに残っており、HDRはきちんと効いている。
花
花弁が飽和気味だが、中央の雄しべの部分が非常にくっきり写っている。
食事
お昼ごはん!
ポートレート
ポートレート(背景ボケ)モードで撮影。
手前の枝と奥の電線をしっかり認識し、被写体と背景を分離できている。
フォーカス位置やボケの量は、後から調整可能。
夕方
日の入り後の暗くなり始めた時間帯の作例。
不自然に明るくなりすぎず、写実的な空の色になった。
空の階調表現も良好で、美しいグラデーションを残せる。
道や壁の部分のテクスチャも黒つぶれせずに写っている。
夜間
夜景モードは現実に近い暗さで出力。
シャッターラグがあり、画像処理・保存に1秒程度を要する。
ゴーストや電灯の白飛びが少し気になる。
著しく高品質というわけではないが、夜間でもある程度使える印象だ。
動画
動画は最大4K60FPS/8K24FPSに対応。
小型ジンバルの効果なのか、小刻みなブレが抑えられている。
夜間は光のブレが出ており、かなり厳しい。
【カメラ総括】
20万円クラスのフラッグシップスマホと比較すると、明確に劣る。しかしながら、極端な環境を除けば”普通に使える”クオリティであり、必要十分なカメラ性能と言える。
良い点・悪い点
Zenfone 9を約3週間使って感じたメリット・デメリットは以下のとおりだ。
- 絶妙なサイズ感
- 独特な素材で長時間使用でもベタつかない
- バッテリー持ちが優秀
- 防水防塵対応
- おサイフケータイ対応
- 3.5mmイヤホンジャックあり
- ユーザーフレンドリーな設定項目
- ディスプレイが低品質
- 電源ボタンの位置が下すぎる
- 随所にコストカットが見られる
絶妙なサイズ感
本体の大きさは68.1×146.5×9.1mmと小型。ただ、実際使うと小さすぎず絶妙なサイズだと感じた。
バックパネルの角はラウンド形状で握りやすい。
ディスプレイは5.9インチ。iPhone 11 Proが5.8インチなので、極端に小さいわけではない。
ただ、筆者は普段「Galaxy S22 Ultra」などの7インチ近い大型機を常用していおり、それらと比べると視認性は落ちる。メディア視聴やコンテンツ消費には向かないかも。
独特な素材で長時間使用でもベタつかない
個人的に一番気に入っている部分。
再生紙のような背面素材で、長時間触っていてもベタつかない。
バッテリー持ちが優秀
4,300mAhとは思えないほどバッテリー持ちはかなり優秀。カメラ・動画視聴・ゲーム等でフルに使っても、十分に1日持続する。スタンバイ状態の電池消費も少ない。
また、「システムモード」設定でパフォーマンスとバッテリー持ちのバランスを調整できる。
ユーザーフレンドリーな設定項目
アプリを複製する「ツインアプリ※一部アプリのみ対応」や、電源ボタンの挙動をカスタマイズする「スマートキー」といった拡張機能が充実している。
本来開発者向けオプションとして用意されている「アニメーション速度」が一般設定で変更できる。
痒いところに手が届く細かい設定が可能であり、ユーザーフレンドリーなOSだ。
ディスプレイが低品質
個体差の可能性もあるが、低輝度で色ムラが生じる。明るい環境だと問題ないが、暗い部屋で見る場合は気になる。
最大輝度は1100ニトであり、他機種と比べて暗く感じた。
お世辞にも品質が良いパネルとは言えない。
随所にコストカットが見られる
ディスプレイ品質以外にも「下ベゼルが太い」「パンチホールが黒塗りされていない」「5G n79に非対応」など、コストカットが図られている箇所が多い。
15~20万円クラスのフラッグシップスマホとは明らかに違うので、過度な期待は禁物だ。
とはいえ、実用に足るスペックであり、一般的な利用用途で困ることは無いだろう。
ベンチマーク
「Zenfone 9」のベンチマークスコアを測定する。Qualcommの2022年後期ハイエンド向けSoC「Snapdragon 8+ Gen 1」を搭載。
AnTuTu Benchmark
AnTuTu Benchmark V9.5.5で計測した。
総合スコアは100万点オーバー。ほぼすべてのゲームを快適に遊べる非常に高い性能だ。
本体温度は29℃スタートで7℃上昇。バッテリーは11%減少した。
内蔵ストレージの読み込み/書き込み速度を測定する「Storage Test」のスコアは64840点。UFS 3.1規格の平均的なスコアが出た。
Geekbench 5
「Geekbench 5」の結果は以下のとおり。
シングル | 1312 |
マルチ | 4210 |
Compute(GPU) | 6548 |
実行中は、同SoCを搭載する他機種と比べて、本体がやや熱く感じた。
まとめ
Zenfone 9は、ハード・ソフト面ともに独自路線でしっかりと差別化されている端末だと言える。”小型ハイエンド”という、ある種時代の流れに逆行した機種だが、ニッチな需要を確実に満たしてくれるだろう。
一昔前であれば
ミドルハイ 5万円
コスパハイエンド 7万円
フラッグシップ 12万円
くらいの価格感だったが、もはやそれは昔の話。
2023年1月現在では、
ミドルハイ 7万円
コスパハイエンド 10万円
フラッグシップ 15万円~
程度のティアが一般的となっている。
20万を超える機種が続々登場する中、99,800円~という価格設定は妥当なラインと言える。
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