ディスプレイを搭載したサングラス型デバイスの「Rokid Max(読み:ろきっどまっくす)」。
筆者がたまたま訪問したb8ta Tokyo Yurakuchoにて、展示されていた実機を体験。画質の良さに感動し、Yahoo!ショッピングにて入手した。
今回は、Android TV搭載のRokid Stationと、Rokid Max本体がセットになった「Rokid Joypack」を購入。
本記事では、Rokid Maxを約2ヶ月使用して感じた良い点・悪い点をレビューする。
Rokid Maxは「サングラス型ディスプレイ」
Rokid Maxを一言で表すなら「ディスプレイ付きのサングラス」だ。
▼見え方イメージ
見え方としては、巨大なスクリーンが目の前に現れる感じ。想像以上のサイズ感で迫力はあるが、過剰すぎない絶妙な大きさだ。
解像度はフルHDでドット感は皆無。本当に“普通に観れる”ディスプレイという印象。
大きさの感覚は人それぞれだと思うが、光をシャットアウトする付属のカバーを付けると、映画館の中央付近から見ているように錯覚する。
よくも悪くも“ながら操作”ができないので、映像を集中して鑑賞できる。
普通のメガネよりも鼻の先の方で支えるイメージ。ノーズパッドは曲げて調整可能。
やや重さは感じるものの、楽な姿勢かつハンズフリーで動画を視聴する体験は、他に代え難いメリットだ。
操作系は右テンプル部分に集約されている。音量と明るさを調整可能。
Rokid Max最大の特徴は、なんといっても視度調整機能だ。0.00から-6.00Dの近視度数であれば、ダイヤルでコントロールが可能。
競合製品では、インサートレンズを別途購入する必要のあるものが大半なので、これは嬉しい特徴と言える。
良いところ・悪いところ
Rokid Maxのメリット・デメリットを列挙してみる。
- 想像を超える実用レベルの画質
- ドット感の無いフルHDディスプレイ
- 楽な姿勢かつハンズフリーで映像鑑賞
- HDR表示も可
- 視度調整機能で軽度近視に対応
- AR的な使い方は不可
- 四隅はほんの少しぼやける
- 長時間の使用は疲れを感じる
- 音質は並(イヤホン使用可)
- 作業用途には向かない
- 眉間が若干熱くなる
- 画面が明るすぎる時もあり
- 再接続すると明るさがリセットされる
AR的な使い方は不可
前述の通り、Rokid Maxはあくまで「サングラス型ディスプレイ」だ。
本体にバッテリーは非搭載で外部デバイスかスマホへの接続が必須。センサー類も備えていないので、現実世界に情報を重ねる「AR」的な使い方は不可能と考えた方が良い。
四隅はほんの少しぼやける
画面中央付近は本当に完璧に表示されるが、四隅に関してはわずかにボケる場合もアリ。グラス自体が目に密着していないと少し見づらいかも。
とはいえ、設定で表示領域を調整できるため、迫力を犠牲にしてでも端までくっきり表示させたい方は、やや小さめにしておくと良い。
また、明るい部屋×暗い映像の組み合わせだと、着ている服の影が映り込むので少し気になる。部屋の電気を消灯し、付属カバーを付けて使うのが最も快適。
音質は並
音質に関しては、”並”といった印象。音量を上げると詰まったような音に聞こえる。
Bluetoothのワイヤレスイヤホンに接続は可能。AirPods Proのノイキャン+空間オーディオの組み合わせが特におすすめ。
作業用途には向かない
Rokid Maxをパソコンの外部モニターとして利用したいと考えている方も多いだろう。
結論としては「できなくはないが、快適ではない」だ。
あくまでフルHD解像度であり、画面が大きいからといって作業領域が広がるわけではない。前述の四隅ボヤけ問題も相まって、細かい文字の認識が辛いところも作業用途に向かない理由の一つだ。
購入前の懸念点を一問一答
筆者がRokid Maxの購入前に感じていた疑問を一問一答する。
- Qスマホの画面を出力できる?
- A
USB-C搭載のiPhone 15以降、DP Alt モード対応のAndroidスマホで直接画面出力できる。GalaxyはSamsung DeXが利用可能。
- Q音声出力先は替えられる?
- A
スマホ接続の場合でも、Rokid Max本体のスピーカーおよびイヤホンを選択可能。
- Q目は疲れる?
- A
1~2時間で疲れてくる感じあり。
人によっては耳が少し痛くなるかも。
致命的な欠点ではないが、休憩なしの使用時間は長くても映画1本分くらいに留めておきたい。
買ってよかった「Rokid Station」
Rokid Stationは、Android TVを搭載したポータブルデバイスだ。
Android TVに対応したアプリ、例えばYouTubeやAmazonプライム・ビデオ、ABEMA等のVODサービス利用できる。
Rokid Stationは、単体購入だと29,800円と、決して安い金額ではない。ただ、コレのあり・なしで、Rokid Maxの生活への定着度が段違いなのではないかと筆者は思う。
というのも、グラスをかけたままスマホを操作するのは結構大変で、結局一度外して操作するような形になってしまう。対してRokid Stationを利用した場合、映し出された画像を見ながらでも、手元のカーソルだけで操作できるのだ。
UIはAndroid TV特有の大きめの文字やサムネイル表示となっており、一般的なテレビで使うのと同じ使い勝手が実現されている。
動作面はとにかくサクサクで、モタツキを一切感じず非常に快適だ。
操作系はシンプルで、誰もが直感的に使用できる。
敢えて悪い点を挙げるとすれば、スリープ時にオレンジ色のLEDが点きっぱなしになることだろうか。電源をオフにしてしまうと復帰に時間がかかるので、一定時間で消えるようにしてほしい。
重量は150グラムと、スマホより少し軽いくらい。追加で一台持ち運んでも苦にはならないだろう。
「セット購入を迷ってるなら、Rokid Stationも買っておけ」というのが筆者の意見だ。
まとめ:コンテンツ消費特化デバイスの現状最高峰
正直、サングラス型ディスプレイがここまで実用的であることに、驚いている。
この手のデバイスは過去に店頭で何度か触っていたが、「日常利用するには至らないクオリティ」だと思い込んでいた。
Rokid Maxは高級プロジェクターに引けを取らない画質が実現されており、”ホームシアター代わり”になり得るだろう。
エンタメ消費、とくに映像コンテンツの鑑賞が好きな人には、自信を持っておすすめできる製品と言える。
一方で、緻密な作業を要するクリエイター等には向かない。“生産”にこのデバイスを使うのは、まだまだ難ありといったところ。とはいえ、あと一歩改良が加われば実用レベルにまで到達する可能性もあり、今後の進化が楽しみな部分だ。
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