新たなLHR回避策?デュアルマイニングの収益性を検証【設定方法】

パソコンの小ワザ

昨今のグラフィックボードは、Ethereum(ETH)のマイニング制限が施された”LHR版”が主流となっている。

当該GPUでは、ETHのハッシュレートが本来の50%程度に抑えられている。ならば、残りのリソースを使って別アルゴリズムの仮想通貨を採掘しよう!というのがデュアルマイニングである。

今回はConflux(CFX),Ravencoin(RVN)との同時マイニングを「T-Rex」を使って試したみた。

LHR「完全回避」が登場!
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デュアルマイニングの仕組み

「デュアルマイニング」とは、2つの仮想通貨を同時にマイニングすること。デュアルマイニング自体は以前から存在するが、最近はLHR制限の実質的回避目的で使用されるようになった。

通常は「ETH+その他」の組み合わせで稼働させる。これにより、ハッシュレート制限モデルのGPUパワーを最大限活用することができる。

現状では、リソースの30%をETH(Ethash)に割当て、残り70%で別アルゴリズムの計算を行う。

要件

今回使用するマイニングソフト「T-Rex」では、以下の組み合わせで採掘できる。

通貨①通貨②最低VRAM容量
ETHCFX10GB
ETHRVN10GB
ETHFIRO10GB
ETHERGO8GB

アルゴリズムの組み合わせ毎に、VRAM容量の最小要件がある。推奨オーバークロック設定については、T-Rexの解説ページに記載されている。

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設定方法

T-Rex v0.24.0よりLHRロック解除デュアルマイニングモードが開放された。ソフトは、GitHub経由でダウンロード可能だ

batファイルの書き方

「t-rex.exe」と同一ディレクトリに存在するbatファイルを編集するか、新規作成する。

同一batファイルに、2つのプール・ワーカーの情報を複数記述するのがポイントだ。

t-rex.exe -a ethash –lhr-algo octopus -o stratum+tcp://poolurl.com:xxx -u username.workername -p password -w rig0 –url2 stratum+tcp://poolurl.com:xxxx –user2 address.workername –pass2 x
pause

ゴチャゴチャしていて分かりづらいが、赤文字にETH青文字にRVNやCFXなどの情報を入力すれば良い。太文字の部分を自身の使用するプールに合わせて変更する。

なお、マイニングプールやウォレットの用意・batファイルの詳しい記述方法は過去の記事で解説しているので(CFX,RVN)割愛。

稼働

作成したbatファイルを実行すると、マイニングが開始される。

2つのレポートが表示される

初期状態ではリソースの30%でETHを掘るが、ソフト側の自動調整によりそれ以上の割合になる場合もある。逆に、LHRロックを検出すると、20秒間の停止後低い値を試行するようになる。

実際、70%の電力制限でETH+RVNを採掘したところ、「LHR detected」と表示され、度々停止してしまった。(Core Clock +100MHz,Memory Clock +1000MHzで30%を維持できた。)

なお、自動調整を無効化するには–lhr-autotune-mode offオプションを指定する。

利益

次は、デュアルマイニングの収益性について検討する。想定する環境は以下の通りだ。

環境・前提
  • RTX 3060(LHR v2)
  • T-Rex v0.24.8
  • OC設定(MSI Afterburner)
    • Core Clock … +100MHz
    • Memory Clock … +1000MHz
    • Power Limit … 70%
  • システム全体消費電力…220W
  • 電気代単価…24円/kWh

収益性の試算はminerstatのツールによる、2022年1月7日時点の日間平均値を使用した。

ETH+CFX

ソフト側のレポートによると、ハッシュレートはETHが14MH/s、CFXが30MH/sを示した。

ETHCFXコスト利益
¥84¥267¥-126¥225
ETH14MH/s+CFX30MH/s

1日に約225円の利益が見込めることが分かる。では、この値を単体でマイニングした時と比較しよう。

¥273¥-126¥147
¥203¥-126¥77
ETH34MH/s、CFX42MH/s

単独マイニングの場合、CFXは1日147円、ETHは77円の利益であり、デュアルマイニングの方が効率が良いことが分かった。

なお、ETHマイニングは70%LHRロック解除を使用した値だ。

ETH+RVN

同様に「ETH+RVN」でも試算してみる。

ETHRVNコスト利益
¥84¥155¥-126¥133
ETH14MH/s+RVN15MH/s
¥226¥-126¥100
¥203¥-126¥77
ETH34MH/s、RVN22MH/s

こちらでも、単体よりも高い収益性が期待できることが分かった。

結論:デュアルマイニングは効果あり!

ちなみに、非LHRのRTX 3060は49MH/s程度とされ、電気代を控除した収益は166円だ。

これらの結果から、デュアルマイニングは実質的なLHR解除手法であると言える。

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まとめ

今回は「ETH+CFX」「ETH+RVN」のデュアルマイニングを試した。長時間稼働していると、前者の方が安定しており、LHR mode 37.0くらいで動いた。

2022年のEthereum 2.0への完全移行に備え、他PoWコインへの価格上昇に期待しつつ今から集めておくのも良いだろう。

なお、試算結果はDifficulty等の要因により日々変動する。あくまで筆者の環境での、記事執筆時点における値である点には注意していただきたい。また、簡素化のためPool料金を考慮していない。

LHR「完全回避」が登場!

Link:T-Rex – GitHub

コメント

  1. ちゃおちゅーるもんぷち より:

    こちらの記事を見て、デュアルマイニング(ETH OCTPUS)を始めました。
    しばらくは良かったのですが、ある日突然、いずれのハッシュレートも極端に低い値しか出なくなりGminerに戻しています。あれは何だったのか…。

    RVNはついこの前半減期が来たそうですが、報酬いかがでしょうか?

    • PC人間 より:

      自分はRVNをメインに掘ってないのですが、計算ツールによると30%利益水準は落ちているようです。
      ただ、通貨の下落による影響が大部分で、掘れ高自体はあまり変わらないと思います。

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