本記事では、LHR版グラフィックボードで、イーサリアムのマイニング制限を部分的に突破する方法を解説する。NiceHash Minerプラグイン「NBMiner」を使用。
NBMiner 39.0
先日の記事で、LHR版グラフィックボードで、ハッシュレート制限を約70%に緩和する「NBMiner 39.0」アップデートが行われる旨を投稿した。
今回、その「NBMiner 39.0」がNiceHash Miner上で使用できるようになった形だ。従来の制限値である約50%から性能が向上し、収益性の改善が期待できる。
追記:制限を100%回避する「Nicehash Quickminer」が登場しました!
→詳細はこちら
NBMinerのアップデート
まずは、NiceHash Minerのプラグイン「NBMiner」の最新バージョン(v39.0以降)にアップデートする。
Pluginsタブ > NBMiner > Discription でバーションを確認する。
手順
- NiceHash Minerを開く
- Benchmarkタブへ移動
- NBMiner & DaggerHashimotoの歯車をクリック
- Extra Launch Parameters”に「-LHR 68」を入力
- ウィンドウを閉じて完了
Benchmarkタブで設定
Benchmarkタブへ移動し、NBMinerの”DaggerHashimoto”の歯車をクリック。
パラメーターの入力
”Extra Launch Parameters”に「-LHR 68」と入力。
ウィンドウを閉じれば準備完了だ。Dashboardタブへ戻り、マイニングをスタートさせる。
LHR版RTX 3060の場合、25~28MH/s程度を観測できた。
なお、上記の手順を行わなくても、対応するGPUを検出すると、自動的にLHR回避モードが適用される場合もある。
マイニング制限回避の仕組み
マイニング制限は、特定のメモリアクセスパターンを検出すると、強制的にGPUに電力制限を掛けることで実現される。
今回の制限回避は、検出される閾値のギリギリで動作させることで実現しているとみられ、68%での使用が推奨されている。そのため、本来のパワーを完全に発揮できるわけではない。(制限解除というタイトルには語弊があるかも…)
次項では、リミッターの発動条件を探り、ハッシュレートの変化を記録する。
検証
GitHubページによると、-lhr <value> でパラメーターを変更することで、最大ハッシュレートの割合を変更可能とのこと。徐々に上げてゆき、限界値を検証する。
環境
マイニングソフト
使用するソフト:NiceHash Miner
バージョン:3.0.6.5
パワーモードは、TDPを100%に設定する「High Power Mode」で実行。
グラフィックボード
GeForce RTX 3060搭載
GHIGABYTE GAMING OC 12G (rev. 2.0)
Limited Hash Rate version(Lite Hash Rate)
NVIDIA Studio Driver バージョン:471.41
その他のPCスペック
その他のPCスペックは以下の通りである。
CPU | Intel Core i7-11700 |
CPUクーラー | H150i ELITE CAPELLIX |
マザーボード | H570 Steel Legend |
メモリ | 32GB VENGEANCE RGB PRO 3200MHz |
SSD | 1TB Samsung 980 PRO |
SSD2 | 2TB Samsung 870 EVO |
電源 | 650W CX650F RGB |
検出限界値チキンレース
制限状態のハッシュレート
アップデート前(2021年8月)に計測した結果が以下の通りだ。
約22MH/sのハッシュレートが出ており、消費電力は113Wとなっている。
最新バージョンにおいて、ベンチマーク機能を使った測定では、19.035MH/sという結果に。
minerstatによれば、本来のRTX3060のハッシュレートは49.6MH/sであり、半分以下に制限されていることが分かる。
68%
次に、最新のNBMinerで、推奨値68%に設定して検証する。
ハッシュレートは26~28MH/sで推移。確かに先程よりも高い値が出ている。消費電力は140W前後で約0.19MH/Ws。ベンチマークでは26.643MH/sを示した。
69%
少しずつ上げていく。
実測値で29MH/s程度、消費電力147W。ハッシュレートが上がり、効率も僅かながら改善。
ベンチマークは27.187MH/sで、こちらも上昇した。
70%
29.67MH/sを記録し、消費電力も146Wと、効率もさらに向上。ベンチマークは26.872MH/sだった。
71%
ここで変化が見られた。27~28MH/s程度で144Wの消費となり、効率ダウンした。
ベンチマーク結果も26.182MH/sと少し減少。
これ以降も検証を続けたが、72%以上でも結果は誤差程度となった。
検証結果
結果をまとめたのが以下の表だ。
設定 | ハッシュレート(MH/s) | 消費電力(W) | 効率(MH/Ws) |
---|---|---|---|
制限状態 | 21.97 | 113 | 0.194 |
68% | 26.61 | 142 | 0.187 |
69% | 28.67 | 146 | 0.187 |
70% | 29.67 | 146 | 0.203 |
71% | 27.74 | 146 | 0.190 |
今回の環境・結果からは、70%が最適解であることが分かった。
しかしながら、効率はほどんど変わらず、収益性にそれほど影響しないため、単純に速度が速くなるのみと考えたほうが良いだろう。
だたし、72%以上や非回避モードに設定(-LHR -1)しても著しくハッシュレートが落ちることはない点には疑問が残る。設定方法に問題がある可能性も考えられるので、ご存知の方はコメント欄にて教えていただきたい。
まとめ
本記事では、LHR版グラボでハッシュレート制限を回避する方法について解説・検証した。
個人的には、わざわざEthereumを掘らなくても良いのかなという感想。OctopusやKawpowには制限が掛けられていないので、これらのみで運用するのもアリかもしれない。
来年にはEthereum 2.0への完全移行も控えており、GPUマイニングにも転機が訪れることが予想される。今後も動向を注視し、当ブログでも適宜取り扱いたい。
Source:NiceHash Blog,GitHub,minerstat Featured Image:NiceHash
コメント
私の場合、-lhr 68、メモリなどのチューニングで、これ+1,2MHくらいのパフォーマンスでした
[13:55:56] INFO – ================== [nbminer v39.4] Summary 2021-10-08 13:55:56 ===================
[13:55:56] INFO – |ID|Device|Hashrate|Accept|Reject|Inv|Powr|CTmp|MTmp|Fan|CClk|GMClk|MUtl|Eff/Watt|
[13:55:56] INFO – | 0| 3060| 30.26 M| 131| 3| 0| 80| 53| | 53| 990| 8250| 60| 378.3 K|
情報ありがとうございます!
NicehashでGminerの最新版を手動で入れると(自動の場合は最新版ではない)、3060で33M以上出ます。
こちらは自動でうまくギリギリの値で調整してくれて、ロックされることもほとんど無いので、高めの数値で安定したパフォーマンスを得ることができます。
まだ試されていなかったら、ぜひお試しください〜
有益な情報ありがとうございます。