2022年8月19日に日本国内で発売された「Nothing Phone (1)」。筆者も一般販売分で購入し、無事発売日に入手できた。
本記事では、デザインを中心に約3週間使用した感想や、良い点・悪い点をレビューする。
Nothing Phone (1)のスペック
開封の前に、Nothing Phone (1)のスペックをチェックする。
CPU(SoC) | Snapdragon 778G+ |
メモリ(RAM) | 8/12GB |
ストレージ | 128/256GB |
寸法 | 75.8×159.2×8.3mm |
重量 | 193.5g |
ディスプレイ | 有機EL,6.6-inch,FHD+,2400×1080,120Hz |
カメラ | 広角:50MP,IMX766,1/1.56-inch 超広角:50MP,JN1,1/2.76-inch インカメラ:16MP,IMX471,1/3.1-inch |
バッテリー | 4,500mAh,有線,無線(Qi),逆無線 |
防水防塵 | IP53 |
初期OS | Android 12,Nothing OS |
色 | ブラック,ホワイト |
国内発売日 | 2022年8月19日 |
国内価格 | ¥63,800~ |
SoCは「Snapdragon 778G+」を採用し、8GBまたは12GBのメモリを搭載する。ディスプレイはフルHD+、120Hzの有機ELパネル。その他、IP53防水防塵やQi規格のワイヤレス充電にも対応している。
いわゆる”ミドルクラス”スマートフォンだが、必要十分な基本性能を備え、付加価値にも優れており、バランスの良い製品と言える。
開封
さあ、開封しよう!
パッケージ
パッケージは紙製で、本体の背面を模したデザインが印刷されている。
箱が薄い。
箱を破って開封するタイプは初めてだ。
「製品を自分のものにする」感があって、個人的には好き。
側面から本体がお目見え。今回はホワイトをチョイス。
付属品
同梱物は、本体とUSB-Cケーブル・SIMピン・説明書類、以上。
今まで見たSIMピン史上、最もおしゃれ。
ペリペリ剥がし。何度やっても楽しい瞬間だ。
本体
Nothing Phone (1)の外観・デザインを眺めていく。
ぶっちゃけ、性能とかカメラとかどうでも良くて、デザインに惹かれて本機を購入した。
外観・デザイン
背面はスケルトン仕様で、900個のLEDで形作られた「Glyph Interface」が見える。
「Nothing」ロゴ。
白は白でも、パーツごとに異なった白(少し灰色がかった白など)を採用している。これが立体感の正体だろう。
数種類のテクスチャが組み合わせられており、観察すればするほど楽しい。
下部のプレートは象をイメージしているそうだ。
ネジの感じとか好き。
角張った側面デザインなど、iPhoneを強く意識していることが分かる。
アルミフレームを採用しており、高級感はあまりない。
各側面はこんな感じ。やっぱりiPhoneを連想させられる。
起動
OSは、Android 12ベースの「Nothing OS」を搭載。カスタマイズが少なく、AOSPライクな使い心地だ。プリインアプリも最低限。
画面は、パンチホール式のフラットディスプレイとなる。ベゼルは少し太めだが、四辺均一なところがとても良い。
ファーストインプレッション
起動直後の第一印象は、「結構デカい」。大きさはiPhoneのPro Maxくらいある。
また、角があるので持ちづらさを感じる。
動作自体はサクサクで、日常利用で困ることはないレベル。
Glyph Interfaceを試す!
さて、本機一番の目玉機能である「Glyph Interface」を試す。
背面に900個のミニLEDが搭載されており、均一に光らせるための工夫が施されているらしい。
10種類の着信音から、LED点灯パターンを選択可能。
Nothing Phone (1)
— PC人間 (@pcningen) September 11, 2022
Glyph Interface pic.twitter.com/9QPUxGnmea
まあ、正直お飾り的な要素でしかないが、それで良い。
充電中のインジケーターや、カメラ起動時の補助ライトなど、(一応)実用的な機能もある。
イースターエッグ:音楽に合わせて光らせる
ちょっとした遊び心として、イースターエッグ(隠し機能)がある。音楽に合わせてGlyph Interfaceを光らせることができる。
有効化手順は以下の通りだ。
- 「電話」アプリから適当な番号を打ち、新しい連絡先を作成、性を”Abra”にする
- 設定 > Glyph Interface > 着信音 > 連絡先を追加
着信音を「abra」に設定 - Glyph Interface > 高度な機能に「ミュージックの視覚化」項目が出現する
スピーカーから出る音に合わせて、LEDが光るようになる。面白い!
なお、一度設定すれば連絡先を消しても問題ない。
ベンチマーク
続いて、Nothing Phone (1)のベンチマークスコアを測定する。
SoCには「Snapdragon 778G+」を搭載。
AnTuTu Benchmark
AnTuTu Benchmark V9.4.4で計測。
総合スコアは550540点。内訳はCPUが155140点、GPUが166401点、MEMが109398点、UXが119601点という結果に。
2019年のハイエンドSoCである「Snapdragon 855」を凌駕するスコアを叩きだした。一般利用において、全く困らないレベルと言える。
スタート時温度37℃で、実行中の温度上昇はわずか1℃。バッテリーは3%減少した。
発熱やバッテリーの消耗も少なく非常に優秀。改めて「Snapdragon 778G+」を搭載したNothingの”センスの良さ”を実感した。
GeekBench 5
GeekBench 5での測定結果は以下の通りだ。
CPU(シングル) | 820 |
CPU(マルチ) | 3008 |
Compute<OpenCL> | 2438 |
Compute<Vulkan> | 2492 |
数年前のミドルクラススマホによく使われていた「Snapdragon 765(G)」と比べると、各スコアが1.5~2倍程度向上している。実際の使用感もかなり差がある。
Compute(GPU)スコアはそこそこだが、設定次第では3Dゲームも遊べるだろう。
カメラ
Nothing Phone (1)のカメラを見ていく。
解像度 | センサー | センサーサイズ | |
---|---|---|---|
広角 | 50MP | IMX766 | 1/1.56インチ |
超広角 | 50MP | JN1 | 1/2.76インチ |
インカメラ | 16MP | IMX471 | 1/3.1インチ |
広角+超広角の2眼構成で、それぞれ「IMX766」「JN1」イメージセンサーを搭載する。最近良く見る組み合わせ。
広角
全体的に暗めに出力されることが多い印象。
空の青が強く出る。
逆光環境下では苦戦気味。HDRがうまく効いていない。
全体的に画が白っぽくなる傾向があるようだ。
ボケ味はほどほどで、使いやすいと思う。
超広角
一方で、超広角カメラでの作例は影部まで明るく仕上がることが多かった。
広角よりも自然な青が表現されている。
夕方の景色も非常に美しい。
夜景・暗所
ナイトモード使用して撮影。
低照度下においては、過度に明るすぎず雰囲気のある写真が仕上がる。
白飛びは少なく、光源処理も良好。
その他作例
広角と超広角の色を比較すると、前者の方が濃くビビットに出ることが分かる。
たまに失敗して、奇妙な写真が撮れてしまう‥
カメラ総評
Nothing Phone (1)のカメラ性能に点数をつけるなら、10点中6点といったところ。
ミドルクラスのスマホとしては悪くないが、レンズ間の差やソフトの安定性がやや気になった。また、望遠レンズは搭載しておらず、ズーム性能は弱い。
同じイメージセンサーを搭載した「realme GT 2 Pro」とのカメラ比較記事はこちらから閲覧できる。
メリット・デメリット
Nothing Phone (1)を約3週間利用して感じた良い点・悪い点をまとめる。
- 特徴的なデザイン
- 動作はサクサク
- 120Hzのリフレッシュレート
- 4辺均一ベゼル
- 生体認証の精度は良好
- 1日しっかり使えるバッテリー持ち
- Qiワイヤレス充電&逆充電対応
- 防水防塵
- 大型で持ちづらい
- 指紋認証の位置が下すぎる
- UIが洗練されていない
- FeliCa(おサイフケータイ)非搭載
- 振動が安っぽい
良い点
Snapdragon 778G+がちょうどいい
SoCに「Snapdragon 778G+」を採用している点が本当に良いと思う。前述の通り、普段遣いでは全く問題のない性能だ。120Hzの高リフレッシュレートディスプレイと相まって、操作感は快適そのものだ。
低い防水防塵レーティングでコストカット
Phone (1)はIP53の防水防塵レーティングを取得している。しかしながら、これはコスト削減のために敢えて低い認証を取得しており、実際の性能はIP68相当らしい。
悪い点
大型で持ちづらい
想像よりもデカく、持ちにくさを感じた。また、側面がフラットかつ滑りやすい素材なため、手へのフィット感もイマイチ。
TPU製の滑りにくいケースを購入することで、ある程度解消できる。以下の商品を購入した。安くて良い。
また、「SleekStrip」のような貼り付け式グリップを使用するのも手かもしれない。
UIが洗練されていない
コントロールセンター周りのUIやアニメーションなど、ソフトウェア面で粗が目立つ印象。
例えば、ボタンの文字数が多いと文字が流れるが、展開完了時にトランジション無く元の位置に戻るため違和感がある(伝われ!)。
Nothing Phone (1)
— PC人間 (@pcningen) September 11, 2022
UIがイマイチ pic.twitter.com/OYtETmRghs
良くも悪くもPure Androidからカスタマイズが施されておらず、そのままという印象だ。Galaxyにあるようなマルチタスク系の便利機能も乏しい。
FeliCa(おサイフケータイ)非搭載
FeliCa(おサイフケータイ)には対応しておらず、モバイルSuicaやPASMO、楽天Edyなどは使えない。
先日参加した「Nothing Black Dotイベント」では、FeliCaの重要性について、CEOのCarl Pei氏と参加者との間で意見交換が行われた。
このことから、Nothingも日本におけるFeliCa事情については認知しており、次期モデルには搭載されるかもしれない。
入手方法
Nothing Phone (1)の公開市場(SIMフリー)版は、公式サイトのほかAmazonや家電量販店で販売されている。
格安SIM
格安SIM「IIJmio」「OCN モバイル ONE」でも取り扱いされており、最大2万円引きとなる。
IIJmioでは、既に契約している方向けにギフト券プレゼントキャンペーンも用意されている。少しでも安く購入したい方は、格安SIMをチェックしてみよう。
まとめ:バランス良し!面白い一台
Nothingは、スマホメーカー「OnePlus」の共同設立者であるCarl Peiによるハードウェアベンチャーだ。Nothing Phone (1)は、同社初のスマートフォンとなる。
「限定100台のNo刻印入りモデル」や「KITH TOKYOでの先行販売」、「NFTの配布によるコミュニティの活性化」など、OnePlus譲りのマーケティング手法は非常に興味深い。
一目で識別できるアイコニックな造形や特徴的なシャッター音により、混沌を極めるスマホ市場において存在感を見せた。
筆者は、この1ヶ月間で街中でPhone (1)ユーザーに2回遭遇している。同じ端末であることに”気づく”、そして親近感が湧く。Nothingの戦略は”成功”と言えるのではないだろうか。
本体の基本設計においても、Snapdragon 778G+や120Hzのディスプレイ、必要十分な2眼カメラなど、とにかくバランスの良い1台に仕上がっている。
スマホを含む、Nothingの今後に期待したい。
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