1インチセンサー「IMX989」や、独自の画像処理チップ「V2」を搭載するなど、カメラへの期待度が高い「vivo X90 Pro+」。
同機の性能を検証すべく、実際の作例を「vivo X60 Pro+」「iPhone 14 Pro」「Galaxy S22 Ultra」の3機種と比較する。
写真
写真作例は、
左上:vivo X60 Pro+ 右上:vivo X90 Pro+
左下:Galaxy S22 Ultra 右下:iPhone 14 Pro(無刻印)
の順に掲載している。
以下、X60 Pro+/X90 Pro+/Galaxy/iPhoneと呼称。
日中(広角)
まずは、広角メインカメラの比較から。
空の色に違いが現れた。X90 Pro+は最も自然でカラーバランスが良い。
なお、X90 Pro+の純正カメラアプリ搭載されている、Carl Zeissのナチュラルな色を再現した「ZEISS Natural Color」はオフにした状態で撮影している(今後の作例も同様)。
先程の画像を拡大したもの。X90 Pro+はノイズリダクションが少し強めかな?という程度で大きな差はない。
X90 Pro+は以前のvivo Xシリーズに比べ、オート撮影時に露出アンダーになる傾向がある。
純正カメラアプリは「エフェクト マスター」と呼ばれる、露出・彩度を指一本で調節できるUIを備える。必要に応じて微調整するのが良いだろう。
Galaxyの彩度は相変わらず高め。
Galaxyは、手前の道路(右下)の質感が消えている。
X90 Pro+は、展示されている花のディテールや、左下の”レストラン”の文字が、最も精細に描写されている。
Galaxyの彩度盛り盛り写真は、好みが分かれそう。逆にiPhoneは淡白になりすぎている。
X90 Pro+は、丁度良い色の濃さで写真に深みを与えている。後ろにある石柱まできちんと写っている。大型センサーによるボケ感も良好。
高画素
高画素モードは、X60 Pro+とX90 Pro+は50MP、Galaxyは108MP、iPhoneは48MPとなる。
vivo端末は、高画素モードでHDRが効かず、空が白飛びしている。
1億画素センサーを搭載するGalaxy圧勝、かと思いきやiPhoneも悪くない。
日中(超広角)
続いては、超広角カメラを使った作例だ。
どの機種も歪みの程度は同等。
X60 Pro+とiPhoneは、シャープネスの強さでやや劣る。
色相や彩度・明度の傾向は、広角カメラと同様だ。
iPhoneはやはり空が白飛び気味に…。
レンガの質感を良く表現できているのはGalaxyだろうか。
X90 Pro+の通常モードは”丁度良い”色味だと思う。
日中(望遠)
X60 Pro+・X90 Pro+は2倍光学レンズを搭載。GalaxyとiPhoneはデジタルズームとなる。
X90 Pro+とiPhoneは、非常にシャープで高精細。
逆に、3倍はGalaxyとiPhoneが光学レンズを備える。
画質は[X90 Pro+]=[Galaxy]>[iPhone]>[X60 Pro+]って感じ。
X90 Pro+の4つ目のカメラは、3.5倍のペリスコープレンズだ。非常にブレづらいため撮影しやすく、バシッと決まるイメージだ。画質の良さもご覧の通り。
5倍はX60 Pro+は光学ズーム、他3機種はデジタルズームとなる。X90 Pro+が最も優れていると思う。
Galaxyは10倍のペリスコープレンズを搭載。X90 Pro+のデジタルズームは、ソフトウェア処理が本当に強い。
iPhoneは最大15倍となるため、ここで退場。
20倍まで拡大してもX90 Pro+が優れる。(レンズの汚れによるシミ?が気になるが…。)
30倍くらいまでは十分実用範囲内。
最大100倍ズーム。
別の作例も見ていく。
ハードウェア構成はGalaxyより弱いX90 Pro+だが、出力される画像は同等以上のクオリティだ。すごいぜ、vivo!
比較的近くの被写体ではどうだろうか。
X90 Pro+は、高倍率でも金属のテクスチャがきちんと伝わる。
X90 Pro+のズーム性能が予想以上に良く、驚いている。コレ一台であらゆる画角をカバーできそうだ。
逆光
白飛び・黒つぶれしがちな、逆光環境下で撮影。
広角
X90 Pro+はフレアが少ないが、太陽が不自然に大きく写ってしまった。X60 Pro+は影部分がぼやけている。
iPhoneは全体的に暗くなる傾向がある。X60 Pro+は道に反射した光を処理しきれていない。個人的には、前景を鮮やかに映し出すGalaxyが好み。
超広角
以前のvivoは、オート撮影時にシャドウを大きく持ち上げていたが、X90 Pro+では控えめになっている。
逆光耐性はGalaxyが一歩勝っていると思う。
花
花壇に花が咲いていた。
X90 Pro+は、花が際立つ色調・自然なボケにより、奥行き感のある写りになっている。
Galaxyはフォーカスが合わず、花弁の陰影が消えてしまった。
撮影したいものにピントを合わせやすいX90 Pro+は、花撮り最強スマホと言える。
マクロ
マクロモードも試してみた。いずれも、超広角カメラを用いている。Galaxyは”フォーカスエンハンサー”という名称。
マクロモードの自動切り替えは結構ウザいので、普段はオフにしている。
ポートレート
続いては、ソフトウェアで背景ボケを生み出す「ポートレートモード」の比較だ。
X90 Pro+は、深度測定用のdToFセンサーを搭載。
Galaxyは全体的に境界を曖昧にすることで誤魔化している感じがある。iPhoneは腰の辺りのエッジ検出が甘い。
ボケの量は後から修正できるので、参考程度に見てほしい。
認識が難しい細かい枝葉。この画像では、X60 Pro+が最も正確に背景を分離できている。
なお、X90 Pro+には「Biotar」や「Sonnar」といった、Carl Zeissレンズのボケ感を再現するエフェクトが用意されている。これらは人物の撮影でより効果を発揮するだろう。
食事
お昼ご飯!
電球色の照明の店内にて一番美味しそうに見えるのは、X90 Pro+だと思う。
ぼかさずに料理全体をくっきり写したい場合は、被写界深度の深い画像を自動合成する「ZEISS EDoF」モードの使用がおすすめ。
大型の1インチセンサー「IMX989」を備えるX90 Pro+は、自然で美しい玉ボケが発生する。また、驚くことに背景にもHDRが効いているのだ(非常誘導灯に注目)。
ランチワイン美味しかったです。
夕方
日の入り前後の、暗くなりはじめる時間帯の作例を見ていこう。
広角
X90 Pro+は全体が白っぽくなったが、手前の樹木の表面も写っている。また、木の枝のブレも少ない。
オート撮影時のバランスの良さはvivoがリード。
この画像では、空が若干白光りしている(X90 Pro+)。
iPhoneは街並みが真っ暗になってしまった。
拡大すると、X90 Pro+が明らかに高精細かつノイズが少ない。
超広角
Galaxyの超広角は、空が完全に白飛びしている。
相変わらず全体が暗いiPhone。
X60 Pro+は、展望台のガラス面にピントが合ってしまった。
夜景
差が出やすい夜間の作例を比較する。すべて夜景モードを使用。
広角~望遠
展望台の窓ガラスが汚いせいせいでイマイチ。iPhoneはゴーストが出すぎ。
2倍望遠でもギリギリ使える画になる(X90 Pro+)。
看板の企業ロゴが反射して2重に写っている。望遠の夜景はまだまだ改善の余地あり。
X60 Pro+の望遠夜景は使い物にならない。
望遠の夜景に関しては、以前使っていたXiaomiスマホ(Mi 10 Ultra)の方が良かった。
最もシャープに写っているのはX90 Pro+か。iPhoneは看板がまたもや白飛び。
光源周りの処理はX90 Pro+が優勢。
ただし、上の写真のようにHDR合成に失敗して光源がおかしくなる場合もある(X90 Pro+,左下の電灯)。
超広角
vivo X50~80シリーズに搭載されていた「小型ジンバル」がX90 Pro+では廃止されているが、扱いづらさは感じなかった。
X90 Pro+は、AI処理で窓への映り込みを消しているのだろうか?
ちなみに、Galaxyのギャラリーアプリには、オブジェクト消去(反射除去)機能がある。
X90 Pro+の夜景モードは空を青くしてくれるので、夜景らしい夜景になる。
vivoの2機種は、コンクリートの質感まで描写されている。
暗所
室内の比較的暗い場所で撮影。こちらも夜景モードを使用している。
広角
X90 Pro+は、ミラーボールが白くならずに描かれているほか、手前の天井の模様も残っている。
超広角
vivoの2機種は、カーペットの柄が確認できる。
暗闇
常夜灯のみ点灯した状態で配色カードを撮影した。
広角
vivoの両端末は30秒を超える露光時間となった。
明るさはX60 Pro+、ノイズ量の少なさはX90 Pro+の勝利。
超広角
超広角でも同じ傾向だ。
動画
さいごに、動画作例を確認する。すべて4K60FPS、HDRはオフに設定。
※フル解像度で掲載しているため、非常に重いです。再生できない場合は、再読み込みすると改善する場合があります。
日中(広角)
映像の滑らかさはiPhoneが優れる。X90 Pro+は影部分をしっかりと写し出しており、印象が良い。
日中(超広角)
X90 Pro+はOISを搭載していないためか、日中にも関わらず若干の滲みが出ている。
Galaxyは手ブレが酷すぎて論外。
夜間(広角)
iPhoneはゴーストが気になるが、安定度は抜群。
夜間(超広角)
動画に関しては、引き続き「iPhoneの一強」という印象だ。加えて、4K60FPS撮影時にHDR(Dolby Vision)を有効化できるため、非常に美しい映像になる(他3機種は最大4K30FPS)。
まとめ
「vivo X90 Pro+」は、競合他社と比較してもトップレベルのカメラ性能を備えることが分かった。約2年前の機種である「vivo X60 Pro+」から確実に改善しており、同機からの乗り換えを自信を持っておすすめできる。
また、本記事では紹介していないが、ZEISSモードや長時間露光、スーパームーンといった多彩な撮影モードが満載。性能が高いだけでなく、純粋にカメラ機能を”楽しめる”という点においても、「vivo X90 Pro+」は、他社を圧倒する最強のカメラスマホと言えるだろう。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます。
撮影+画像まとめ+記事執筆で丸3日くらいかかりました。めちゃくちゃ疲れたので、二度とやりたくないです。