手元資金は30万円。かっこよく光る見た目重視のパソコンが欲しい。
ということで筆者は人生初の自作PCに挑戦した。
第一回目にあたる本記事では、パーツの選定方法や購入について解説する。
パーツ一覧と価格
20万円で組みたい
当初計画では以下のようなパーツを選定した。
パーツ名 | 商品名 | 購入時の価格 |
---|---|---|
CPU | Intel Core i7-11700 | ¥45,190 |
マザーボード | H570 Steel Legend | ¥16,490 |
メモリ | 8GB×2×2 VENGEANCE RGB PRO 3200MHz | ¥22,480 |
SSD | 1TB Samsung 980 PRO | ¥27,800 |
SSD2 | 2TB Samsung 870 EVO | ¥29,980 |
電源 | 650W CX650F RGB | ¥12,440 |
ケース | CORSAIR 5000X RGB | ¥27,890 |
CPUクーラー | H150i ELITE CAPELLIX | ¥21,760 |
ファン | SP120RGB ELITE | ¥2,090 |
OS | Windows 10 Home 日本語版 | ¥19,280 |
ここまでで225,400円となった。主要パーツのほとんどをビックカメラ.comで購入しており、10%程度のポイント還元があるため、実質価格は約20万円だ。3Dゲームをほとんどプレイしないなど、グラフィックボードが不要であれば十分な構成である。20万円でオフィス用途のPCを検討している方には参考にしてほしい。
なお、組み立てにあたり、電動ドライバーを用意した。
電動ドライバー | ベッセル 電動 ボールグリップ ドライバー | ¥2,981 |
基本的に必要な工具はプラスドライバー1本のみだが、今回の組み立てにおいてかなりの時間短縮と手間の削減に繋がっており、購入を強く推奨したい。
他の用途でも使用できるので、持っておいて損はない道具だと感じた。
30万円で組みたい
製作を進める中、さらなるカスタマイズをするため以下のパーツを追加購入した。
パーツ名 | 商品名 | 購入時の価格 |
---|---|---|
グラフィックボード | RTX 3060 GIGABYTE GAMING OC-12GD R2.0 | ¥74,800 |
無線カード | TP-LINK Archer TX50E | ¥5,160 |
USB2.0ハブ | アイネックス USB2.0ヘッダー 2分配ハブ HUB-06 | ¥1,173 |
HDMIケーブル | Amazonベーシック ハイスピードHDMIケーブル 1.8m | ¥854 |
HDMIケーブル | ORIGINAL BASIC プレミアムHDMIケーブル 2m | ¥1,580 |
有線マウス | Verbatim MUSDOZV1 | ¥500 |
ライザーケーブル | LINKUP エクストリーム4+ 30cm 直角 | ¥7,016 |
LEDストリップ | Lighting Node PRO | ¥9,020 |
LEDストリップ | ainex マグネットLEDストリップライト 30cm | ¥1,078 |
RGB延長ケーブル | ainex RGB LED用延長ケーブル 15cm | ¥528 |
USB3.0→2.0変換 | ainex USB-011A (ケース用USB2.0アダプタ) | ¥987 |
MicroUSBケーブル | Amazonベーシック USBケーブル 1.8m | ¥774 |
ケース内ディスプレイ | 5インチ ELECROW モバイルディスプレイ | ¥5,699 |
L字固定金具 | ビオラ カラー金折外折 黒 50mm | ¥210 |
これらを追加した総額は337,760円だ。同様にポイント還元を考慮すると実質約30万円である。いずれも必須のパーツではない。装飾品が多いため使用用途や目的、予算に応じて適宜検討するのが良いだろう。
パーツの選定順序と理由
各パーツは以下の順番で決定した。
- CPU
- マザーボード
- メモリ
- SSD
- 電源
- ケース
- CPUクーラー
電源容量を大きく左右するため、グラフィックボードは、最初に選定すべきである。
CPUの選び方
Intel Core i7-11700 -購入時の価格 ¥45,190
この記事を読む皆様は、CPUがAMDとIntelに大別され、型番の数字が世代やグレードを表すことはご存知だろう。
初心者である筆者は、比較的他パーツとの相性問題が出にくいとされているIntel CPUで、かつ上位モデルであるCore i7を選択した。
なお、デスクトップ向けCPUの型番末尾は以下のような意味を持つ。
アルファベットなし 通常版CPU
引用・抜粋 公安9課 IntelのCPUの末尾にあるK, S, T, Uなどのアルファベットについてまとめ https://pssection9.com/archives/intel-cpu-alphabet-suffix-meaning.html
X 倍率ロックフリー
K 倍率ロックフリー
F 内蔵GPUが無効のモデル
C 末尾X, Kと同様に倍率ロックフリー
S 省電力版CPU
T 末尾Sよりも更に省電力CPU
P 内蔵GPUが無効のモデル
オーバークロックを行う予定はないため、価格と性能のバランスが良い”無印”を選択した。
マザーボードの選び方
ASRock H570 Steel Legend -購入時の価格 ¥16,490
LGA1200,ATX,8電源フェーズ
今回、一番悩んだのがマザーボードだった。性能の良し悪しや指標について全く知識がなく、最終的には見た目の美しさで決定した。
選び方の手順は以下の通りである。
- CPUに適合するチップセットで絞る
- フォームファクター(大きさ)を選ぶ
- インターフェース周りを確認
一番わかりづらいと感じたので少しだけ詳しく解説する。
CPUに適合するチップセットで絞る
使用する第11世代Intel CPUに対応するチップセットはH510,B560,H570,Z590である。右に行くほどハイエンド製品となる。
Z590のみCPUのオーバークロックが可能になるが、前述の通り行う予定はないため、上から二番目に当たるH570を選択した。B560以上であればメモリのオーバークロックに対応する。
なお、一部の400番台のチップセット搭載製品も、BIOSアップデートを行うことで第11世代のIntel CPUが使用可能となるため、メーカーのHPを要チェックだ。
CPUソケットはLGA1200
CPUソケットが異なるとCPUを物理的に取り付け不可能になる。対応するチップセットを間違えずに選択すれば問題ないが、CPU・マザーボード双方の製品ページを確認すると良い。
フォームファクター(大きさ)を選ぶ
フォームファクターとは、マザーボードのサイズ規格である。
代表的なものにはMini-ITX,Micro-ATX,ATX,Extended ATXが存在する。
右に行くほど物理的に大きい。それぞれの特徴は以下で解説する。
なお、他にもフォームファクターは存在するが、現在主流ではないため説明は省略する。
大きいフォームファクターのメリット・デメリット
ATX,Extended ATXが該当
メリット | ・拡張性が高い ・配線がしやすい ・エアフローが比較的良く、冷却面で有利 ・ファンの回転数を抑えられ、静音性に優れる ・初心者におすすめ |
デメリット | ・使用可能な本体ケースが限られる ・場所を取る |
小さいフォームファクターのメリット・デメリット
Mini-ITX,Micro-ATXが該当
メリット | ・コンパクトなケースが選べる |
デメリット | ・拡張性が低い ・配線難易度が高い |
今回は最もスタンダードで、拡張性が高く、初心者にもおすすめなATXを選択した。
メリット・デメリットを勘案しながら、目的や使用環境に応じて選択するのが良いだろう。
インターフェース周りを確認
背面のUSBポートやLANポート、映像・音声出力等を指す。
使用したい外部機器やネットワーク環境に応じて決めるのが良い。
筆者はWi-FiでPCを使用予定だが、H570 Steel Legendは対応していない。そのため、ネットワーク拡張カードを別途購入した。
TP-LINK Archer TX50E -購入時の価格 ¥5,160
その他確認事項
メモリ規格
マザーボードに適合したメモリを選べば良いので、ここでの説明は省略する。
記事執筆時点(2021年7月)ではDDR4が主流となっている。
2021年秋以降にはDDR5対応の製品も発売されると噂されている。
VRM 電源フェーズ数
VRMはCPU等に必要な電力を安定供給する役割がある。
CPU VRMの役割
引用 PC Watch マザーボードのフェーズの話 https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1152140.html
電源ユニットが供給する電圧をCPUが必要とする電圧に変換する回路
コア数の多いCPUを使用する場合やオーバークロックを行う場合には、フェーズ数が多く質の良いものを選ぶべきである。今回は定格での運用を行うため、標準的な8フェーズのものを選んだ。
他にも、各種ヒートシンクの有無や拡張スロットに違いがあるが、一般的な利用用途であればあまり考慮しなくても良いと思われる。
デザイン
個人的に一番重要である。
”かっこよく光る見た目重視のパソコンが欲しい”という目的のため、ぱっと見の印象で決めた部分が大きい。
PC全体は黒基調であり、銀・白色が良いアクセントとなっている。
なお、RGB用LEDはチップセットのヒートシンク裏にあるのみだ。
メモリの選び方
CORSAIR VENGEANCE RGB PRO 3200MHz -購入時の価格 ¥22,480(¥11,240×2セット)
光り方が美しかったので、本製品を購入した。一度、店頭で実機を見るのが良いだろう。
選び方の手順は以下の通りである。
- DIMMを選ぶ
- 規格を選ぶ
- 容量を選ぶ
- 動作スピードを選ぶ
DIMMを選ぶ
間違っても、ノートパソコン用であるS.O.DIMMを購入してはならない。
物理的な大きさが違うので要注意。
規格を選ぶ
DDR4を選択した。
マザーボードと互換性のあるものを選ぶ。
記事執筆時点ではほとんどの新品製品がDDR4であるが、2021年秋以降にはDDR5も登場するとされており、要チェックだ。
容量を選ぶ
今回は余裕を持たせるため32GB(8GB×4枚)とした。
最低でも16GBは欲しい。動画編集やAdobe系のソフトを使用する場合は32GB~を検討しても良いだろう。
動作スピードを選ぶ
3200MHzを選択。
マザーボードの製品ページに対応するメモリ一覧が掲載されているので、その中から選べば確実だ。
Intel CPU環境では、メモリ動作クロックによる体感差は少ないとされているので、こだわりがある人以外はあまり考慮しなくて良いと思う。
SSDの選び方
HDDという選択肢もあるが、起動スピードなど体感に大きく影響するため、最低でも1基のSSDを搭載すべきである。
メイン:1TB Samsung 980 PRO -購入時の価格 ¥27,800
サブ:2TB Samsung 870 EVO -購入時の価格 ¥29,980
メイン:Samsung 980 PRO
起動ドライブとなるメインストレージには、より高速なM.2 NVMe接続が良い。
本製品はPCIe4.0となっており、最新のCPUの能力をフル活用できる。
理論上の最大転送速度はSequential Readで7,000MB/sを実現しており、現状トップクラスである。
容量に関しては、500GB以上をおすすめする。
サブ:Samsung 870 EVO
データ保存・閲覧用サブストレージとしては、比較的容量単価の安いSATA接続の製品を選択した。
メインストレージと合わせる形でSamsung製を購入。
電源の選び方
650W CORSAIR CX650F RGB -購入時の価格 ¥12,440
CORSAIRの統合RGB管理ツール”iCUE”に魅力を感じ、本製品にした。
規格
ATX電源とSFX電源が存在し、形状が異なる。
容量
本来は、グラフィックボードを最初に決定し、それに応じて決めるべきである。筆者は計画段階において搭載を迷っていたため、ミドルクラスへの対応を想定し650Wを選んだ。
容量はパーツ全体の消費電力量の1.5~2倍の搭載が目安となっている。
なお、シミュレーションをして電源容量を計算してくれるサイトが多数存在するので一度試してみるとよい。
電力の変換効率を表す80PLUS認証については、個人的にはあまり考慮しなくても良いと思う。
PCケースの選び方
CORSAIR 5000X RGB -購入時の価格 ¥27,890
正直、見た目で選んだ。少し黒い半透明の全面パネルが良い具合に内部RGBの光を透過し、非常に美しい。外寸は520mm×245mm×520mmで、かなり大きく感じた。
3基の120mmRGB対応ファンと制御コントローラー”Lighting Node CORE”が付属する。
ケース選びのチェックポイント
- マザーボードのフォームファクター
- 電源規格(ATX or SFX)
- 拡張スロット・インターフェース
- 大きさ
CPUクーラーの選び方
H150i ELITE CAPELLIX -購入時の価格 ¥21,760
簡易水冷の中でも実績のあるCORSAIR。
こちらも、RGB管理ツール”iCUE”に対応している。
ケースが360mmまでのラジエーター搭載が可能なため、150iにした。
運用開始後の感想としては、Core i7-11700程度のCPUであればかなり冷却性能に余裕を感じた。
そのため、コストを抑えたい場合はラジエーターサイズの小さいもの、もしくは空冷でも十分戦えると思う。
本製品にも120mmのファンが3基付属しており、ケースと合わせて6個となった。
背面にもファンを追加で搭載するため、SP120RGB ELITEを1つ購入した。(必須ではない)
Windowsを安く購入する方法
Windows 10 Home 日本語版 -購入時の価格 ¥19,280
ProとHomeの二種類があるが、主にエンタープライズ向けの機能が不要であればHomeで良い。
販売形態として通常のUSB版とDSP版が存在する。
DSP版はPCパーツと併せて販売されており、安価だ。
Amazonなどで「Windows DSP」などと検索すると多数ヒットする。
デメリットとしては、PCパーツが故障してしまうとライセンス認証が不可能になることが挙げられる。
なお、筆者はよく調べずにDSP版の存在を知らないままUSB版を正規価格で購入してしまった…
グラフィックボードの選び方
GIGABYTE RTX 3060 GV-N3060GAMING OC-12GD R2.0 -購入時の金額 ¥74,800
筆者はPCゲームをほとんどプレイしないので、エントリークラスのRTX 3060搭載モデルを購入した。
見た目のインパクトがある3連ファン、かつ2スロット占有というところが決め手となった。
2021年7月現在、世界的な半導体不足や需要の増加といった要因により、価格が高騰している。
買い時とは言い難い状況だ。
3Dゲームをプレイしないなど、CPU内蔵グラフィックで事足りる場合は様子見することをおすすめする。そもそも、正規ルートでの供給量が少なく入荷してもすぐに売れてしまうというのが現状である。
6月に入り、暗号資産(仮想通貨)の価格下落や中国当局の規制発表によりマイニング需要が落ち着きを見せ、在庫が復活しつつあるが、販売価格に反映されるのは当分先だと予想される。
まとめ
さて、以上で主要なパーツの選定は完了した。
追加で購入したものについては、ここでの紹介はせず今後掲載する。
知識がほとんど無い状態でのスタートだったが、我ながら良い選択ができたと感じている。
運用開始後も大きなトラブルなく使用できているため、是非とも構成を参考にしてほしい。
次回は、いよいよ組み立て編となる。
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8/3:タイトル変更
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