Galaxyの最新フラッグシップ「Galaxy S23 Ultra」が筆者の手元に到着!
- SAMSUNG「Galaxy S23 Ultra」香港版
- 型番:SM-S9180
- Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy搭載
- 発売日:2023年2月17日(グローバル)
前モデル「Galaxy S22 Ultra」との比較を交えながら、Galaxy S23 Ultraを実機レビューする。
記事執筆時点で日本国内版は発表されていないが、既に海外モデルを日本で入手可能だ。
スペック
CPU(SoC) | Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy |
メモリ(RAM) | 8/12GB |
ストレージ | 256/512GB/1TB |
寸法 | 78.1×163.4×8.9mm |
重量 | 234g |
ディスプレイ | タイプ:AMOLED サイズ:6.8inch 解像度:QHD+ リフレッシュレート:1-120Hz タッチサンプリングレート:240Hz |
カメラ | 広角+超広角+3倍望遠+10倍望遠,インカメラ 詳細は後述 |
バッテリー | 5000mAh,有線45W,無線 |
防水・防塵 | IP68 |
初期OS | Android 13 One UI 5.1 |
対応バンド | 仕向により異なる |
色 | Phantom Black,Green,Lavender,Cream (+Samsung.com限定色) |
発売日 | 2023年2月17日(グローバル) |
価格 | 9690HKD~(香港版) |
その他 | 内蔵型Sペン |
Galaxy S23 Ultraは、特別版SoC「Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy」を搭載したハイエンドスマホだ。
ディスプレイは6.8inchの有機ELパネルを採用し、1~120Hzの可変リフレッシュレートを実現。
バッテリー容量は5000mAhで、有線45WとQiワイヤレス充電に対応する。
香港版の価格は12+256GB構成が9690香港ドル、日本円換算で約16.8万円(税抜)。フラッグシップらしい価格設定となる。
開封 & 本体をチェック!

付属品は、本体とケーブル・SIMピン・説明書類が同梱されている。
外観・デザイン
今回は「ラベンダー」色をチョイス。

Galaxy Noteの系譜を継ぎ、内蔵型のスタイラス「Sペン」も健在。

アルミ製のメタルフレームはブロンズに近いピンクといった感じで、高級感を醸し出している。

前作「Galaxy S22 Ultra」と比較して、側面の丸みが少なくなった。ディスプレイのエッジ面積が削減され、ほぼフラットに近い形状に。それに伴い、Sペンやメディア視聴の体験向上が見込める。
個人的にはハイエンドの象徴であるエッジディスプレイが好み。S23 Ultraの角度は、利便性とデザインのバランスが良いと感じる。

「フラットな側面は持ちづらい」という先入観があったが、持ち心地はほとんど変わらなかった。
S22 Ultra比で、カメラが少し大型化している。

デスクに置いたときの「カメラの出っ張りによるガタつき」は致し方ない。

前面は中央パンチホールタイプで、ベゼル幅も非常に細い。
あとは、上下均一ベゼル幅と画面内カメラが実装されれば完成形となるが…。




各側面は程よいグリップ感があり滑りづらい。
カメラ性能がさらに進化
Galaxy S23 Ultraの最も大きな進化点は「カメラ性能」だろう。
メインの広角カメラは、200MP(2億画素)センサー「HP2」を搭載。
カメラの詳細スペックは以下のとおりだ。
Galaxy S23 Ultra | 倍率 | 画角 | 35 mm換算 焦点距離 | 画素数 | CMOS センサー | センサー サイズ | F値 | OIS | その他 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
超広角 | 0.6x | 120° | 13 mm | 12MP | IMX564 | 1/2.55″ | f/2.2 | – | Dual Pixel PDAF |
広角(標準) | 1x | 85˚ | 23 mm | 200MP | S5KHP2 | 1/1.3″ | f/1.7 | ○ | PDAF,Laser AF |
望遠 | 3x | 36˚ | 69 mm | 10MP | IMX754 | 1/3.52″ | f/2.4 | ○ | Dual Pixel PDAF |
望遠(ペリスコープ) | 10x | 11˚ | 230 mm | 10MP | IMX754 | 1/3.52″ | f/4.9 | ○ | Dual Pixel PDAF,~100x |
インカメラ | – | 80˚ | 25 mm | 12MP | S5K3LU | 1/3.24″ | f/2.2 | – | PDAF |
詳細なカメラ比較は、既に別記事にアップ済み。
関連記事:「Galaxy S23 Ultra」vs「S22 Ultra」カメラレビュー!iPhone 14 Pro/vivo X90 Pro+と比較
ここでは、印象的な部分をピックアップして掲載する。
実用的な2億画素カメラ
2億画素などの高画素撮影では、「画像の一部分を切り取る」という使い方が想定される。
▼2億画素モードで撮影したサンプル

高画素モードでもダイナミックレンジが極端に狭くならない。
▼中心部分を切り取り

この画像だけを見せられても、クロップだと分かる人はまずいないだろう。
高画素モードは、花などの撮影においてより効果を発揮する。

比較的近距離で小さい物体を撮る場合に、望遠カメラでは最短撮影距離が足りずにフォーカスが合わなくなることがある。 そのような場合に、高画素クロップが非常に有効だ。

細部までくっきりと、シャープに描写されている。
「2億画素カメラ」は謳い文句にとどまらず、非常に実用的であることが分かった。
100倍ズームは大幅に改善
望遠カメラは、3倍ズームレンズ+10倍ペリスコープの構成。
前作と比べてハードウェアの変更はほぼ無いものの、ソフトウェア処理が大きく改善されている。


30倍まで拡大しても、壁のテクスチャまでしっかり再現されている。


高倍率の画像処理は明らかに改善。手ブレを抑える純正アプリの機能も相まって、扱いやすい望遠カメラに仕上がっている。

▲20倍以上のズーム時に、全体に対する位置が小窓表示される。撮りたい部分でピタッと止まってくれるため、遠くの被写体を狙いやすい。
手ブレ補正がヤバすぎる!
メインカメラの光学式手ブレ補正(OIS)の稼働範囲が広くなり、強力な手ブレ補正が実現されている。これにより、ビデオ撮影で驚くべき効果が発揮される。
まずは、以下の動画をご覧いただきたい。
▼完成した動画がコレ
かなり揺らしたにもかかわらず、生成された動画はほとんどブレていない。
また、「HDR10+」は以前は4K30FPSに制限されてたが、今作からは60FPSでも有効化できるようになった。
カメラ機能の中でも、動画性能は大幅に進化した。S22 Ultraから買い替える価値アリと言える。
写真作例
Galaxy S23 Ultraの写真作例をいくつか掲載する。

発色は、相変わらず彩度高めのGalaxyらしい写り。

望遠カメラを使えば、幻想的な富士山と東京の街並みを一枚に収めることができる。

↑こういう撮影はiPhone 14 Proには不可能。

<カメラ総括>
前作と比較して、Galaxy S23 Ultraは大幅に進化しており、業界トップレベルのカメラ性能を誇っている。特に、高倍率望遠のクオリティが非常に高く、他機種では実現できない撮影体験が可能だ。個人的には、2億画素の使いやすさが予想以上で、非常に満足している。
ディスプレイ品質が向上
S22 Ultraと比べ、ディスプレイの品質が向上している。

S22 Ultraのディスプレイは、斜めから見たときに青くなる傾向があった。一方でS23 Ultraはどの角度から見ても白の発色が変わりづらく、色再現性が高い。
横幅が広く、動画視聴時の没入感が他機種と比べても段違い。最強のメディア視聴機と言えるだろう。
ちなみに、中華系メーカーでトレンドの高周波PWM調光ではない。
生体認証はイマイチ?
指紋認証センサーは、前年同様「Qualcomm 3D Sonic Sensor Gen 2」が使用されている。成功率は体感9割以上で、速度は申し分ない。
顔認証もあるが、「顔全体を認識してはじめてロック解除される」といった具合で、失敗することが多い。
vivoの端末を使った後だと、生体認証の快適度は劣ると感じた。
バッテリー持ちはかなり良い
Galaxy S23 Ultraは、TSMC製造のSoC「Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy」を搭載。従来のSoCよりも消費電力が抑えられ、バッテリー持続時間も期待できる。

午後12時頃に使用を開始。その日はSNSやウェブブラウジングをしたり、写真を200枚程度撮影した。帰宅時点でバッテリー残量が40%以上残っており、結局翌日の14時頃まで持続した。
実環境でも26時間以上使用でき、S22 Ultraと比べても、体感のバッテリー持ちはかなり優れている。
オーディオ品質も改善

スピーカーに関しては、低音域を中心に迫力が増している。S22 Ultraで感じられた、安っぽい音のシャカシャカ感がなくなった。
上部のスピーカーは受話用と兼用だが、左右バランスは悪くない。
”for Galaxy”の実力は?
Galaxy S23 Ultraは、SAMSUNGとQualcommが共同開発した特製SoC「Snapdragon 8 Gen 2 Mobile Platform for Galaxy」を搭載している。※選別された当たり石を使用しているとの噂あり。
通常の8 Gen 2から、CPUクロックが3.2GHz→3.36GHzに引き上げられている。
AnTuTu Benchmark
AnTuTu Benchmark V9.5.7を3回連続で実行した結果は以下のとおり。

1回目の総合スコアは約123万点となり、本体温度は7.2℃上昇、バッテリーは4%減少した。
Galaxy S23 Ultra | vivo X90 Pro+ | Galaxy Z Flip4 | Galaxy S22 Ultra | |
---|---|---|---|---|
SoC | Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy | Snapdragon 8 Gen 2 | Snapdragon 8+ Gen 1 | Snapdragon 8 Gen 1 |
総合スコア | 1230970 | 1300973 | 983536 | 903128 |
CPU | 262549 | 271163 | 243277 | 213359 |
GPU | 539830 | 578763 | 406467 | 395780 |
MEM | 240940 | 252083 | 165173 | 151155 |
UX | 187651 | 198964 | 168619 | 142834 |
Snapdragon 8 Gen 1と比較して、各スコアが20~60%程度向上している。
vivo端末はいわゆる”ベンチマークブースト”が入っているため、スコアは参考程度に見ていただきたい。
Geekbench 6
「Geekbench 5」がアップデートされたため、「Geekbench 6」で改めて計測した。
Galaxy S23 Ultra | vivo X90 Pro+ | Galaxy Z Flip4 | Galaxy S22 Ultra | |
---|---|---|---|---|
SoC | Snapdragon 8 Gen 2 for Galaxy | Snapdragon 8 Gen 2 | Snapdragon 8+ Gen 1 | Snapdragon 8 Gen 1 |
CPU(シングル) | 1936 | 1975 | 1250 | 1625 |
CPU(マルチ) | 4895 | 5261 | 3740 | 3571 |
Compute[OpenCL] | 9147 | 6441 | 5058 | 4643 |
Compute[Vulkan] | 4877 | 5575 |
特にCompute(OpenCL)のスコアが大きく向上している。CPUについては順当進化といったところ。
Galaxy S23 Ultraとvivo X90 Pro+については、Vulkanの一部項目が測定できず異常値になってしまった。
良い点・悪い点
Galaxy S23 Ultraを約1週間使用して感じたメリット・デメリットは以下のとおり。
- 使いやすいOne UI
- 品質の高いディスプレイ
- 横幅が広く、動画視聴時の没入感が抜群
- かなり良いバッテリー持ち
- 完成されたデザイン
- ”使える”2億画素+高倍率望遠に強いカメラ
- 前作のカメラ不満が解消
- 「重さ・持ちにくさ」はアクセサリで解決
- 生体認証は△
- 充電速度が遅い(最大45W)
- 充電時にコイル鳴きする
使いやすいOne UI
Galaxy S23 Ultraは、Android 13ベースのカスタムUI「One UI 5.1」がプリインストールされている。
高機能かつ扱いやすいグローバル向けUIで、日本人にもおすすめできるOSだ。

細かなユーザービリティにも配慮されており、例えば操作する部分が下に配置されているなど、細部にわたって作り込まれている。
One UIの独自機能で、筆者が特に気に入っているのが「セキュリティフォルダ」機能。
これは、”スマホの中にスマホを作る”イメージで、アプリやファイル・画像を個別に管理する機能だ。
他社スマホにも「アカウント切り替え」や「セカンドスペース」といった類似機能がある。しかしながら、クリップボードやアプリ一覧を共有できないため、少なからず切り替えの手間がある。その点「セキュリティフォルダ」は、”絶妙な距離感”でアプリを複製できるため、筆者はかなり重宝している。
前作のカメラ不満が解消
S22 Ultraで見られた、写真が全体的にぼやける問題が解消。
詳細についてはカメラレビュー編に記載している。
「重さ・持ちにくさ」はアクセサリで解決
Galaxy S23 Ultraの本体重量は実測値で237グラムと、かなりのヘビー級。横幅の広さも相まってどうしても持ちにくさが生じてしまう。
そこで、筆者はMagSafeに対応したケース「PITAKA MagEZ Case 3」とスマホリング「iRing Mag」でその問題を解決している。

本体重量はさらに増してしまうが、持ちやすさが段違い。Galaxy S23 Ultraの必須アイテムと言えるだろう。
なお、本製品は記事執筆時点で国内取扱が無く、今回は米Amazon.comで輸入した。PITAKA-Japanによると、S23シリーズの国内発売と同時に販売開始するとのこと。
充電速度が遅い(最大45W)
充電速度は最大45Wであり、約1時間で充電が完了する。
ただ、筆者は100W超えの急速充電を常用しているため、どうしても物足りなく感じる。20万円クラスのフラッグシップ端末として、そろそろテコ入れが必要ではないだろうか。
45W如きで”超急速充電”を名乗るのをやめていただきたい。
入手方法
記事執筆時点で、日本国内での取扱いおよび発売日は未定。例年どおりであれば、4月下旬にドコモ・auより発売される。
イオシス
「Galaxy S23 Ultra」の海外版は、国内外のスマホを数多く取り揃える「イオシス」に入荷済み。
いち早く欲しい方は、店舗や通販サイトを覗いてみては如何だろうか。
Etoren
海外通販サイト「Etoren(イートレン)」は、Samsung.com限定カラーを含む全8色をラインナップしている。
値段は高めだが、12ヶ月の保証が付帯するため安心して利用できる。筆者が何度か利用した感想としては、発送が迅速で、サポートがきめ細やかな印象だ。
まとめ

本記事では、香港版「Galaxy S23 Ultra」の良い点・悪い点を実機レビューした。
前作と比較して、カメラを中心に細かい部分が改善され、それらがユーザー体験にきちんと寄与していると感じた。
筆者は月平均1台以上のスマホを購入しているが、Galaxy S23 Ultraは「どれか一つ選ぶならこれ」と言える一台だと思う。
約18万円という価格に見合った”オールラウンダースマホ”であると考えられる。
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