vivoの最新ハイエンドスマホ「iQOO 11 Pro」を入手!
- vivo「iQOO 11 Pro」中国版
- 型番:V2254A
- Snapdragon 8 Gen 2搭載
- 発売日:2022年12月22日
iQOOは、vivoがゲーミング向けとして展開するブランドだ。iQOO 11 Proは、2022年12月に中国で発表・発売された。
定価は最低構成(8+128GB)で4999元(約9.5万円)。最高峰のスペックを備えるにもかかわらず安価な価格設定であり、コストパフォーマンスに優れる。筆者が購入したのは16+512GBモデルで、送料/税込138,300円だった。
同時期に発売されたvivo X90 Pro+との比較を交えながら、iQOO 11 Proを実機レビューする。
スペック
CPU(SoC) | Snapdragon 8 Gen 2 |
メモリ(RAM) | 8/12/16GB LPDDR5X |
ストレージ | 256/512GB UFS 4.0 |
寸法 | 164.76×75.30×[黒:8.89][白,緑:9.10]mm |
重量 | [黒:213][白,緑:210.5]g |
ディスプレイ | タイプ:AMOLED サイズ:6.78inch アスペクト比:20:9 画面占有率:92.5% 解像度:3200×1440 コントラスト比:8000000:1 リフレッシュレート:144Hz その他:10.7億色,P3,HDR10+ |
カメラ | 広角+超広角(魚眼)+ポートレート,インカメラ 詳細は後述 |
バッテリー | 4700mAh,有線200W,無線50W |
防水・防塵 | – |
初期OS | Android 13 OriginOS 3 |
対応バンド | 4G TD-LTE:B34/B38/B39/B40/B41/B42 4G FDD-LTE:B1/B2/B3/B4/B5/B7/B8/B12/B17/B18/B19/B20/B25/B26/B28/B66 5G:n1/n2/n3/n5/n7/n8/n12/n20/n28/n66/n38/n40/n41/n77/n78/n79 |
色 | 传奇版,赛道版,曼岛特别版 |
発売日 | 2022年12月22日 |
価格 | 8GB+256GB:4999元 12GB+256GB:5499元 16GB+512GB:5999元 |
iQOO 11 Proは、TSMC 4nmプロセス製造のSoC「Snapdragon 8 Gen 2」を採用したハイエンドスマホだ。
最大16GBのLPDDR5XメモリやUFS 4.0のストレージ、Samsung E6発光素材を使用した2K 144Hz AMOLEDディスプレイなど、最新・最強のスペックが詰め込まれている。
また、独自開発の自社チップ「V2」を搭載し、AIベースのフレーム補間や画像処理が行われる。
バッテリーは4700mAhのデュアルセルで、有線200W・無線50Wの急速充電に対応。
背面カメラに関しては「広角+超広角(魚眼)+ポートレート」の三眼構成となっている。
開封 & 本体をチェック!
付属品は、本体とケース・充電器・ケーブル・SIMピン、説明書類が同梱されている。
外観・デザイン
今回は3色展開のうち”黒”をチョイス。
サイズ感は至って普通の大画面スマホ。「ゲーミング」を感じさせない落ち着いた仕上がりとなっている。
素材は金属質でサラサラなのに滑りづらい、独特な質感だ。
同じくvivoより発売された「X90 Pro+」と比較する。
SoCやメモリ・ストレージ・ディスプレイのスペックは同等で、共通化されているとみられる。カメラ重視のX90 Pro+に対し、iQOO 11 Proはゲーミング向けという棲み分けだ。
iQOO 11 Pro | X90 Pro+ | |
---|---|---|
高さ×幅(mm) | 164.76×75.30 | 164.35×75.29 |
厚み(mm) | 8.89 | 9.7 |
重量(g) | 213 | 221 |
高さ・幅はほぼ同じだが、iQOO 11 Proはより薄く・軽くなっている。X90 Pro+はカメラ部分に重心が偏っており、数字よりも重く感じる。
カメラの出っ張りは控えめ。
iQOO 11 Proは、ディスプレイ側の湾曲が比較的少ない。
サイドフレームはラウンドエッジを採用しており、手へのフィット感もGood。
OriginOS 3
iQOO 11 ProのOSは、Android 13ベースのカスタムUI「OriginOS 3」を搭載。
日本語を選択できるが、不十分な箇所が多々見られる。
たとえば、スマホメーカーのAppleを”りんご”と誤訳してしまった。
中華フォントについては、設定 > ディスプレイと明るさ > フォントスタイルより「経典字体」を選択することで解消できる。
Google Play開発者サービスが標準搭載されており、Google系アプリを使用可能。Google Play ストアはAPKファイルで簡単に導入できる。
爆速200W急速充電
iQOO 11 Proは、前作の「iQOO 10 Pro」に引き続き、最大200WのFlash Chargeに対応。中華系メーカーによる共通規格であるUFCSに準拠した他社製充電器でも最大40Wで急速充電が可能だ。
ワイヤレス充電は、中国国内の規制上限である50Wとなる。
充電器はGaN(窒化ガリウム)が使用され、小型化が図られている。PD/PPSにも対応し、一般的なノートPCを急速充電できるスグレモノ。
実際に試したところ、1%→100%の充電が、約12分で完了(実測値)。
開始1分で160W、2分40秒で120W、4分20秒で100W、9分で80W、その後徐々に出力を下げながら12分11秒で100%となった。
なお、日本を含む電圧が100Vの地域では最大120W出力となる。そのため、国内の家庭用コンセントでフルパワーを発揮するには、変圧器(アップトランス)を用いる必要がある。
ちなみに、記事執筆時点での急速充電出力1位は「Redmi Note 12 探索版」の210W。TENAAの認可情報によると、未発表の「realme GT Neo5」は240W(20V/12A)に対応するとのこと。
高品質な2K 144Hz E6ディスプレイ
iQOO 11 ProのAMOLEDディスプレイは、Samsung E6発光素材を使用し、ピーク輝度は1800ニトに到達。1440Hz PWM調光の効果として、低輝度時のちらつきが抑制される。また、LTPO 4.0により、最大144Hzの可変リフレッシュレートに対応する。
開発者向けオプションで見る限り、リフレッシュレート144Hzで動作するのは一部のゲームアプリに限定されるようだ。システムUIやその他のアプリは1-120Hzとなる。
SetEditやADBコマンドで、System TableやGlobal Tableの変数を弄っても144Hz動作しなかった。
root権限があれば、以下のコマンドで144Hzを強制できると思われる。
adb root
adb shell
setprop persist.vivo.phone.fps_default 144
setprop persist.vivo.phone.fps_max 144
ただ、vivo端末は一部を除きBootloader Unlockできないため、現状では検証しようがない。
生体認証が非常に快適
指紋認証および顔認証が非常に快適な点も、本機の特徴だ。
超音波指紋認証
画面内指紋認証は超音波式センサーであるQFS2630、通称「Qualcomm 3D Sonic Sensor Max」を搭載。ロック解除速度が0.2秒と非常に速いだけでなく、認識エリアが広いため安定性も向上する。
他の指紋認証センサーと比較しても、抜群の精度と速度だ。
国内で販売されているモデルでは、AQUOS R7やLEITZ PHONE 2に同センサーが採用されている。
顔認証
顔認証はフロントカメラによる2D認識だが、高速かつ正確。顔が少しでも画角に入るとロックが解除されるイメージ。マスクをした状態でも問題なし。
「生体認証の快適さ」が、この端末を”手に取りたくなる”一因であると言える。
カメラ
iQOO 11 Proのカメラスペック詳細は表のとおりだ。
倍率 | 画角 | 35 mm換算 焦点距離 | 画素数 | CMOS センサー | センサー サイズ | F値 | OIS | その他 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
超広角(魚眼) | 0.6x | 150° | 15 mm | 50MP | S5KJN1 | 1/2.76″ | f/2.27 | – | マクロ |
広角(標準) | 1x | ? | 23 mm | 50MP | IMX866 | 1/1.49″ | f/1.75 | ○ | |
ポートレート | 2x | ? | 50 mm | 13MP | S5K3L6 | 1/3″ | f/2.46 | – | ~30x |
インカメラ | – | ? | 28 mm | 16MP | S5K3P9SP | 1/3″ | f/2.45 | – |
アウトカメラは3眼構成で、150°の魚眼超広角レンズが特徴。
ここからは、カメラ性能が売りの「X90 Pro+」と実際の作例を比較していく。
日中
黒つぶれ・白飛びしやすい逆光環境下で撮影。
両者ともHDRが効いており、手間の木々やタイルの質感が残っている。X90 Pro+は太陽が不自然に大きくなってしまった。
右下の雑草辺りのノイズ量や精細さはX90 Pro+が勝る。
ハードウェア的に劣るiQOO 11 Proの方が色再現性が高く、解像感も優れているように感じる。
影部をタップするとシャドウが大きく持ち上がる、X80シリーズ以前のvivo端末のような挙動をする。
X90 Pro+は比較的シャープネス強め。
ナチュラル カラー
標準カメラアプリでは、彩度を抑えめで撮影する「ナチュラル カラー」モードを使用できる。
全体的に落ち着いた印象の写真に仕上がる。
魚眼
iQOO 11 Proは150°の超広角レンズを備え、魚眼風の撮影が可能。
以下は、同じJN1センサーを用いた魚眼レンズを搭載する「realme GT 2 Pro」との比較だ。
直射日光下では大きなフレアが出るrealme GT 2 Proに対して、iQOO 11 Proは実用レベルまで抑えられている。
HDRがしっかり効いてくれるため、iQOO 11 Proの方が明らかに使いやすい。
独特の撮影効果が楽しい。
夜間
vivoのカメラは「暗所に強い」とされている。
今回は、東京駅丸の内駅舎が見える「KITTEガーデン」で夜景を撮影した。
拡大して見ると、確かにX90 Pro+の方がノイズが抑制されているが、パッと見の写りはほぼ変わらないレベル。
超広角では差が顕著になる。ただ、”比べて初めて分かる”違いでしかなく、単独で見れば十分合格点の品質と言えるだろう。
明らかにiQOO 11 Proが優れる。画像処理チップ「V2」により、処理時間も短い。
夜景モードや動画でも魚眼を使用できるiQOO 11 Proに優位性がある。
暗所ではメインカメラのデジタルズームになる機種が多いが、この画像はきちんと望遠レンズが使用されている。
【カメラ総括】
総じてiQOO 11 Proのカメラ性能は必要十分であり、「HDRの強さ」や「暗所でのソフトウェア処理」といったvivoの強みが活かされている。さらなる高倍率望遠や低照度性能を求めない方であれば、満足できるカメラに仕上がっていると言える。
ベンチマーク
Snapdragon 8 Gen 2を搭載したiQOO 11 Proのベンチマークスコアを計測する。
いずれも、バッテリーモードは「バランスモード」で測定している。
AnTuTu Benchmark
AnTuTu Benchmark V9.5.6を3回連続で実行した結果は以下のとおりだ。
1回目の総合スコアは129万点オーバー。本体温度は28℃スタートで7.9℃上昇、バッテリーは7%減少した。
連続実行後のスコア低下が少なく、パフォーマンスの持続性も高いことが分かる。この辺りは、ベイパーチャンバー冷却機構の効果が感じられる。
Storage Test
ストレージのR/W速度を計測する「Storage Test」を実施。
UFS 4.0の標準的なスコアである122670点をマークした。
iQOO 11 Proでは、ストレージの一部を使用して最大8GBのRAM拡張ができる。
Geekbench 5
Geekbench 5のスコアは以下のとおり。
iQOO 11 Pro | X90 Pro+ | |
---|---|---|
CPU(シングル) | 1503 | 1489 |
CPU(マルチ) | 4979 | 4556 |
Compute<Vulkan> | 9606 | 9967 |
こちらも全てのゲームアプリが快適に動作するレベルの非常に高いスコアが出ている。
ただし、vivo端末はいわゆるベンチマークブーストや他アプリのスロットリングが行われている可能性があり、必ずしも実使用時の性能を表すわけではない。
良い点・悪い点
iQOO 11 Proを実際に使用して感じたメリット・デメリットは以下のとおりだ。
- ロマンを感じる最強スペック
- 遊び心のある動的効果
- iQOO独自機能
- バッテリー持ちは良好
- 指紋が付きにくい独特の背面素材
- 日本の主要バンド & VoLTE対応
- Widevine L1 & アマプラ高画質OK
- 200W急速充電
- 使いやすい魚眼カメラ
- 快適な生体認証
- 日本語化がイマイチ
- 中華OS特有の使いづらさ
- バックグラウンド動作は要設定
遊び心のある動的効果
設定 > 動的効果より、各種アニメーションを細かく設定可能。
アプリ開閉等のトランジションが非常に滑らかで、最高のエクスペリエンスを実現している。
「タッチスクリーンのアニメーション」という、タッチエフェクト出す謎のオプションがある。
iQOO独自機能
vivo Xシリーズには無いiQOO独自機能として、「コンソール」や「モンスターモード」が用意されている。
パフォーマンスを調整できるゲーミングブランドらしい機能だ。
バッテリー持ちは良好
リチウムイオンバッテリーは4700mAhと最近の端末にしては比較的小型だが、バッテリー持ちは良好。
以下の条件で、約26時間持続した。
- GPSトラッキング(バックグラウンド計測) … 8時間
- 写真・動画撮影 … 35枚
- SNS/ブラウジング … 3時間
- 動画視聴 … 2時間
バッテリーがなかなか減らないので、爆速充電を頻繁に楽しめないのがデメリット(?)と言える。
日本の主要バンド & VoLTE対応
日本のプラチナバンド(B8,B18,B19,B26)を利用可能。また、海外スマホでは削られがちな5Gバンド「n79」にも対応する。
加えて、記事執筆時点の最新バージョン(A_13.0.7.8.W10.V)でVoLTEを有効化できた。
Widevine L1 & アマプラ高画質OK
DRM(デジタル著作権管理)のセキュリティレベルが「Widevine L1」であるため、Netflix等のVODサービスで高画質再生が可能だ。
また、独自のホワイトリストを持つAmazon Prime VideoもHD視聴できた。
ビジュアル拡張やHDR表示はグローバル向けアプリにも対応するため、高品質のディスプレイを映像視聴で活かせる。
中華OS特有の使いづらさ
Origin OSは、あくまで中国国内での利用を想定して設計されており、日本人に嬉しい機能は限られる。フレーム補完やゲームの自動プレイ(Botモード)等も、中国系ゲームアプリ以外で使用できない。
また、一部のGoogle系アプリが正常に動作しない、といった中華OSに起因する問題が起こりやすい。
バックグラウンド動作は要設定
いつも通り、アプリのバックグラウンド動作は厳しく制限されている。
以下の設定で常駐系アプリが問題なく動作するが、けっこう面倒。
設定 > バッテリー > バックグラウンドでの消費量の管理 > バックグラウンドでの大量の電力使用を許可する
設定 > バッテリー > 詳細設定 >スリープモード[無効化]
設定 > アプリと権限 > 権限管理 > 権限 > 自動起動
設定 > アプリと権限 > アプリマネージャー > [該当アプリを選択] > 権限 > すべての権限 > 起動
また、通知遅延問題があり、adb shell pm disable-user –user 0 [パッケージ名]で節電系システムアプリ(com.vivo.pem等)を無効化する必要がある。個人的には通知なしで特段困っていないが…。
入手方法
vivoのスマホは2021年の爆発騒ぎ以降、航空機での輸送が困難となっている。そのため、京東(JD.com)等の公式チャネルでの入手は基本的に不可能だ。
Etoren
海外スマホの輸入販売を行う「Etoren」では、iQOO 11 Proを取扱中。
Etorenは、税込表示で配達時の税金(関税/輸入消費税)支払いが不要。1年間の製品保証が付帯している他、有償の運送保険に加入できるため、高額品でも安心して利用できる。
AliExpress
中国大手通販Alibabaが国際向けに展開する「AliExpress」では、複数のストアが同機種を販売している。
比較的安く購入できるが、配送に時間がかかることが多い。
まとめ:最強スペックにロマンを感じる一台
iQOO 11 Proは、SoCやディスプレイ等あらゆる側面で最高峰の技術を詰め込んだハイエンドスマホだ。特に、200W急速充電と快適な生体認証は、技術的に面白いだけでなく実用的な機能だと感じた。
これだけのスペックを載せて、価格は4999元(約9.5万円)~。コストパフォーマンスにも優れた良機と言える。
最強スペックに喜びを感じる人は、購入して満足できるだろう。
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