昨年は各所のスマホ売場で見られた、投げ売りとも言える「一括1円」販売。
不当廉売との指摘や転売ヤーといった諸問題により、現在は姿を消している。
そのような状況の中、一部のドコモショップでは「docomo Certified」端末を使った「一括1円」を模索しているようだ。
docomo Certifiedとは?
「docomo Certified」は、ドコモが販売する中古スマホの名称だ。
基本機能のチェックはもちろん、バッテリーの最大容量80%以上といった独自の品質基準をクリアしたリユース品である。
以前より一部端末がahamoにラインナップされていたが、今春よりドコモオンラインショップでの取り扱いが開始された。
傷や汚れの度合いにより、ランクA+/A/Bに分類されており、比較的安価に入手できることが特徴だ。
実店舗でiPhoneが「一括1円」
「docomo Certified」端末の取り扱いは、オンラインショップのみならず、一部の実店舗でも行われている。加えて、現金一括特価を含む大幅値引きの対象となるケースもあるようだ。
筆者が訪問したドコモショップでは、以下のキャンペーン告知が掲示されていた。
docomo Certified ランクAの「iPhone 12」「iPhone 11」「iPhone XR」が、大幅に値引きされている。
ランクA [64GB] | MNP(乗り換え), 新規契約 | 端末のみ |
---|---|---|
iPhone 12 | 一括19,800円 | 一括41,800円 |
iPhone 11 | 一括1円 | 一括22,001円 |
iPhone XR | 一括1円 | 一括22,001円 |
他社からの乗り換え(MNP)のほか、新規契約もキャンペーンの対象となる。また、回線契約を伴わない端末単体購入でも、1.7万~4万円程度の値引きを適用可能だ。
販売されているのは数年前の機種だが、当時のハイエンドチップを搭載し、OSのサポートも継続していることから、日常使用では“まだまだ現役”と言えるだろう。
契約プランに関しては、即日「ahamo」に変更可能。また、月額550円〜の「OCN モバイル ONE」への加入でも特典を受けられる場合があるため、回線維持費については心配無用だ。
「中古品」特価が今後の主流に?
新品の「iPhone 12」が投げ売りされた2022年3月のような盛り上がりは、今年の春商戦では見られなかった。昨年の「一括1円」に変わって実施されていたのが、返却プログラムを前提とした「実質1円」だったが、4月に入るとそれすら影を潜めている。
その背景には、「独占禁止法違反との指摘」や「転売ヤー」といった問題への対処が挙げられるだろう。
一括1円と実質1円
そもそも、現在の「1円投げ売り」の仕組みは、2019年10月に施行された改正電気通信事業法の“抜け道”を利用したものである。
同法では、「通信と端末の分離」と「過度な囲い込みの抑制」が標榜され、施行規則により、通信契約を条件とした2.2万円を超える値引き等が原則禁止された。
しかしながら、携帯各社は「“乗り換え価格”と“端末のみ価格”の差額を2.2万円にする」という潜脱的方法で法的問題をクリアし、一括1円などの大幅な値引きを実現した。
ただ、このような販売方式は転売問題を誘発し、各社は多額のプロモーション費を無意味に費やすこととなった。そのため、2023年1月頃からは一部を除いて「一括特価」が姿を消し、一定期間後の機種本体返却を前提とした「実質価格」での訴求が中心となった。
2023年2月、公正取引委員会は、携帯電話の「1円販売」といった極端に低廉な価格での販売は、独占禁止法で定められる不当廉売に当たる恐れがある、と結論付けた。
目下、有識者による規制強化に関する議論が行われおり、2023年度中に何かしらのルール変更があるとみられる。
キャリアが模索する「次の一手」
このような経緯もあり、現在の「一括または実質特価方式」が通用しなくなるのは、もはや時間の問題なのだ。
そうなると、顧客獲得のための“エサ”がなくなる。要するに、各社は「次の一手」とも言える新たな手法を模索しているのだ。
その一つが「docomo Certified」端末を使った施策だと推測される。中古品ならば、競合他社の活動を困難にするとは考えづらく、規制の対象にならない可能性が高い。また、“返却プログラム”で買い取った端末の行き場としても都合が良いのだろう。
以上のことから、今後「中古品」を使用したキャンペーンが主流となる可能性がある。
消費者の視点から見れば、ランクや端末ごとに価格が細分化されるため、情報収集がより重要となるだろう。当サイトでは、引き続きスマホの特価情報を随時更新予定だ。
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