HUAWEIの折りたたみスマホ「HUAWEI Mate Xs 2」中国版を入手!
本記事では、スペックやGMSの導入について解説するとともに、実際に使って感じた良い点・悪い点をレビューする。
スペック
CPU(SoC) | Snapdragon 888 4G |
メモリ(RAM) | 8/12GB |
ストレージ | 256/512GB 最大256GBのNMカード対応 |
寸法 | 展開時:139.3×156.5×5.4-11.1mm 折畳時:75.5×156.5×11.1mm |
重量 | 通常版:255g 典藏版:257g |
ディスプレイ | タイプ:OLED サイズ:[展開時:7.8インチ][折畳時:6.5インチ] 解像度:[展開時:2480×2200][折畳時:2480×1176] 画素密度:424ppi リフレッシュレート:最大120Hz タッチサンプリングレート:最大240Hz 調光方式:1440Hz PWM調光 色域:P3,10.7億色 |
カメラ | 広角+超広角+3倍望遠,インカメラ |
バッテリー | 通常版:4600mAh 典藏版:4880mAh 有線66W |
防水・防塵 | – |
初期OS | HarmonyOS 2 |
色 | 白/黒/紫 |
発売日 | 2022年5月6日(中国) |
その他 | Wi-Fi 6,Bluetooth 5.2,USB 3.1 Gen1 |
HUAWEI Mate Xs 2は、7.8インチの折りたたみ式有機ELパネルを備える、「外折り」タイプのフォルダブル端末。閉じた状態では6.5インチとなり、小型~中型スマホに近いサイズだ。
SoCはSnapdragon 888 4Gを採用。米国の制裁の影響で、その名のとおり5Gネットワークには非対応となる。
今回購入したモデルは「典藏版」と呼ばれる、スペックが増強された最上位モデルであり、12GBのメモリと512GBのストレージを搭載する。
AnTuTu Benchmarkの総合スコアは実測値で636363。今となっては物足りない数値だが、必要十分なパフォーマンスと言えるだろう。
中国版の定価は、最低構成で9,999人民元(税別約195,000円)~。海外通販サイト「Etoren」での総額は30万円を超えており、典藏版に至っては38万円を超える非常に高額な価格が設定されている。
中古品を秋葉原で購入!
今回、秋葉原に実店舗を構えるスマホショップ「モバデコ秋葉原本店」に中古品が入荷されたとの情報を入手。店主のご厚意もあり、212,000円で購入することができた。
GMSの導入方法
追記:この方法で導入したGMSが、突然使えなくなりました。
【HUAWEI】华谷套件で入れたGMSが動かなくなったので「Gspace」に乗り換えた
ご存知の通り、HUAWEIのスマホは制裁の影響でGMS(Google Mobile Services)を利用できない。ただし中国版の場合、非公式の方法でGMSおよびGoogle Play開発者サービスを導入可能だ。
Googleを使う方法しては、G Spaceやlighthouseが有名だが、今回は店舗スタッフのサポートの下「华谷套件」を用いて導入した。
「华谷套件」というapkファイルをダウンロードし、手順に従い操作していく。
端末のみで完結し、アプリの指示通りに操作するだけなので簡単。
- Googleアプリのデータを消去する(端末初期化がおすすめ)
- 設定よりシステム時刻を2020年7月10日に変更する
- バックアップから復元する(省略可)
- Google支援アプリを有効にする(谷歌服務助手というアプリがインストールされる)
- システム時刻を自動設定に戻す
- MicroGをインストールし、Googleアカウントにログインする(谷歌服務助手内での操作)
- Play Store等をインストールする(谷歌服務助手内での操作)
- MicroGをアンインストールする
- Google Playサービスをインストールする
- Play プロテクトの認定のエラーを解消する(寄付が必要,省略可)
Googleアカウントは後から追加できないため、複数所持している場合は6.の段階でログインしておく。
9.までの手順が完了すると、Play プロテクト非認定のメッセージが通知欄に出現する。10.で寄付を行えば非表示にできるようだが、そもそも通知を無効化してしまえば良い。
一部のアプリは不具合が出るが、大方利用可能になる。詳細は後述。
なお、動作確認済みのOSはHarmonyOS 3.0.0となる。システムアップデート後も問題なくGMSが動作している。
外観・デザイン
それでは、「HUAWEI Mate Xs 2」の外観・デザインを見ていこう。
付属品
中古ながら付属品は全て未使用。本体とケース、66W HUAWEI SuperCharge充電器・ケーブル、説明書類が同梱されている。
布のような背面素材がGood!
背面はザラザラとした布のような素材で、指紋が一切付着しない。この絶妙な手触りが新鮮。
展開時:折り目はほぼ無い
展開時は正方形に近いアスペクト比となる。サイズ感としては小型タブレットに該当する。
ディスプレイは柔軟性があるのに硬く、耐久力がある。別売りのスタイラスペン「HUAWEI M-Pen 2s」を使えば、手書き作業も可能だ。
持ち手のような右側面は、2019年に登場した初代「Mate X」から変わらず。
厚みはわずか5.4mmであり、薄さが際立つ。
画面は完全に平らではなく、折畳時の円周の余りをうまく吸収できるような構造になっている。
▲少し誇張して示すとこんな感じ。
ヒンジ部分は楕円形のストッパーが付いている。
折り目に関しては、視認できないわけではないが、Galaxy Zシリーズ等と比較してかなり少なめ。使用中に気になることは一切無い。
ただ、ディスプレイが若干山なりになっているような感覚がある。
折畳時:ちょっと重いけど普通のスマホ
折りたたむと、小ぶりなスマホになる。
エッジディスプレイのおかげで横幅が削減され、操作性は悪くない。
重量は264グラム(実測値)あるので“ずっしり感”は否めない。
▲Galaxy S23 Ultraと比較するとこんな感じ。ケース付きの同端末は263グラムであり、Mate Xs 2とほぼ一緒。
展開したい時は、背面のボタンクリックでロックを外す。
上部から見ると、各側面が平らでないことが分かるだろう。
購入当初は“折りたたむ”という行為自体が怖かったが、すぐに慣れた。
シームレスな切り替え
中国版「HUAWEI Mate Xs 2」は、HUAWEIの独自OSである「HarmonyOS」を搭載。
折畳/展開の切り替え時は、UIのシームレスな遷移が行われる。あらゆるアプリで再起動が不要であり、かなり良く出来ていると感じた。
専用ケース
HUAWEI Mate Xs 2には、専用のシリコンケースが付属している。
スマホスタイルにすると、どうしても背面がむき出しになる。持ち運ぶ時はケースを付けた方が良いだろう。
極端に厚みが増えることは無い。
展開時は少々不格好になるが、構造上致し方ない。
“持ち手”の部分が増えるため案外悪くないかも。
スマホスタンドとしても利用可能だ。
筆者は基本この端末を自宅で使うので、普段はケースを外している。
カメラ性能はイマイチ
皆様は「カメラスマホ」といえば、どのメーカーを思い浮かべるだろうか。
ここ数年はvivoが台頭しているが、未だに「カメラといえばHUAWEI」という印象をお持ちの方は多いだろう。
HUAWEI Mate Xs 2のカメラは、広角+超広角+光学3倍の3眼構成となっている。
広角
メインの広角カメラは5000万画素のイメージセンサーを搭載。通常撮影モードでは約1200万画素相当で出力される。
撮影した日は曇天ということもあり、全体的に暗い写りとなった。
背景の空が青く出ており、HDR性能は悪くない。
ただし、細部を処理しきれず、全体的に画像の“ザラザラ感”が出ている。カメラ性能は「並」という印象。
超広角
超広角カメラは1300万画素センサーにF2.2のレンズを搭載。
強調しすぎない彩度はちょうど良いかも。
広角同様、全体的に暗めに出る傾向がある。
望遠
望遠カメラは800万画素・F2.4。光学3倍ズームに対応し、OISを搭載する。
画素数不足なのか、加工感の強い写真になってしまった。画質の悪さを強烈なシャープネスで誤魔化している感じ。
パッと見は悪くないのだが、拡大すると粗が目立つ。「Xiaomi 11T」をレビューした時に感じた、つぶつぶとした安いスマホの写り方が出ている。
いかにも「スマホで撮った写真」といった感じで、カメラ性能を売りにしたフラッグシップスマホには遠く及ばない性能だ。
良い点・悪い点
HUAWEI Mate Xs 2を約1ヶ月使用して感じたメリット・デメリットは以下の通りだ。
- 目立たないディスプレイの折り目
- 折りたたみスマホ屈指の薄さ・軽さ
- ベタつかない背面素材
- 折畳・展開時のシームレスな画面切り替え
- 「展開に応じて動く壁紙」など、OSの細かい作り込み
- 折りたたみ特化のUI
- 使いやすいマルチウィンドウジェスチャー
- 良好なアニメーション
- アプリ毎に実行アスペクト比を指定可能
- バッテリー持ちが絶望的に悪い
- 持ち手部分の発熱が気になる
- ゼリースクロール現象が起きている?(ほぼ気にならない)
- Google系アプリは不完全
- 中華アプリ以外の最適化がイマイチ
HUAWEI Mate Xs 2は、ハード・ソフト共に最高クラスのクオリティだ。
「折り目問題」や「画面の耐久性」といった折りたたみスマホ特有の課題がクリアされており、本格的に一台2役をこなせる仕上がりとなっている。
折りたたみに特化したUI
フォルダブルに最適化されたUIにより、ソフトウェア面の体験も良好。
アプリを下からスワイプすると、画面上部にマルチタスクのヒントが出現する。そのまま左にドラッグで画面分割、右にドラッグで簡単にポップアップ表示ができる。
〇〇しながら〇〇する、といったマルチタスクも現実的。「分割画面を出すのが面倒」ということが無いので、快適に常用できると思う。
「展開に応じて動く壁紙」や「流暢なアニメーション」などの作り込みを含めて、細部までこだわり抜かれたOSだと感じた。HUAWEIに熱烈なファンが居るのも納得。
バッテリー持ちが絶望的に悪い
HUAWEI Mate Xs 2 典藏版は、4880mAhのバッテリーを搭載しているが、体感でかなり持続時間が短い。動画視聴でさえ6時間が限度といった感じで、みるみるうちに残量が減ってゆく。
充電については66WのHUAWEI SuperChargeに対応し、付属充電器であれば45分程度で満充電できる。
ちなみに、閉じたまま充電すると怒られる。
ゼリースクロール現象が起きている?
画面の描画が波打って見える「ゼリースクロール現象」がわずかながら発生しているような気がする。ただ、ほとんど認識できないレベルなので、特に不都合はない。
Google系アプリは不完全
前述の通り、非公式の方法でGMS・を導入可能。
ただ、一部アプリは正常に動作しない場合があり、不完全な状態と言える。例えば、Google ChromeではGoogleアカウントにログインできず、 ブックマークの同期機能等が使用不可となる。
筆者が試したGoogle系アプリの利用可否は以下の通りだ。(試して欲しいアプリがあればコメントください!)
Google製以外のアプリを含めて、体感9割以上が正常動作するという印象。AmazonアプリストアやHUAWEI AppGallaryにあるアプリを併用すれば、スマホとして何不自由無く使える、と言って良いだろう。
なお、ロケーション履歴やバックアップといった、システムレベルのAPIに依存した機能は使えない。
中華アプリ以外の最適化がイマイチ
本端末は中国版のため、現地のアプリ以外は最適化されていないケースが多い。
例えば「パンチホール部分にコンテンツを表示させる」設定が無いため、アプリによっては完全な全画面表示ができない場合がある。
パンチホールは顔認証やセルフィーに使用できるが、個人的には不要だと思った。
まとめ:外折りスマホの“完成形”
HUAWEI Mate Xs 2は、ハードウェア・ソフトウェア共にクオリティが非常に高く、折りたたみスマホのある種“完成形”とも言える端末だ。
特に「外折り」タイプを商用化しているのは、現状RoyoleとHUAWEIの2社のみとなっている。RoyoleのFlexPaiシリーズが技術披露目的であることを考えると、HUAWEI Mate X系列は実質的に唯一の選択肢と言えるだろう。
それだけに、GMSが正式に利用できないのが非常に悔やまれる。本端末からはHUAWEIの確かな技術力が感じられ、HMSを理由に敬遠されてしまうのは本当に惜しいと思った。
HUAWEI Mate Xs 2の体験は筆者にとって新鮮であり、早くも次期モデルへの期待が膨らむ。HUAWEIを取り巻く今後の動向に注目だ。
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